スラッシュリーディングの学習法と英語教材

スラッシュリーディングのトレーニング概要

文章の機能的な区切りごとに分けて(スラッシュを入れて)読む練習。

英文を単語の単位で読んでいくのではなく、文型や修飾関係に注目しながら意味上の固まりで読んでいく。慣れてきたら実際に線を入れずに区切りを意識するだけにする。

英文の構造をしっかり理解していないと、正しくスラッシュをおくことができない。そのため、構文解析が前提として求められる。文法的な裏付けを意識しつつ文章を読むことがスラッシュリーディングの本質である。

これによって、逐次日本語に翻訳して意味を理解するようなレベルから、英文のルールに則って理解するレベルへと脱皮することになる。受験英語のもっとも基本的なリーディング練習でもある。

サイト・トランスレーションとの違い

スラッシュリーディングに類似したトレーニングとして、サイトトランスレーションがある。英文をスラッシュで区切って、前方から翻訳する。通訳学校の基本トレーニング。

「スラッシュで区切って前から読む」というのはスラッシュリーディングと同じだが、通訳トレーニングだけあって「翻訳」に重点がある。

スラッシュリーディングでは、意味を把握するために最初に和訳することはありえるが、その後のトレーニングでは翻訳せずに英語のまま読む

リスニングでも用いる

リスニングの際にもスラッシュの位置でいったんポーズをとり、スラッシュごとに意味を把握する。

あるいは、スラッシュ単位でリピーティングする。

スラッシュリーディングのメリット

1)正確に英文を読めるようになる。

意味上の単位ごとに英語が読めるというのは、英語の構造を正確に理解していることが前提になる。スラッシュリーディングのトレーニングを通して、英語を正しく理解するようになる。

2)構文の予測ができるため早く読める。

英文の一部を読んだだけで、その次におかれている語彙や句(文法的におくことのできる語彙や句)が予測できるため、英語を早く直感的に理解できるようになる

というのも、日本語と英語は言語的に大きく異なるため、日本語の感覚のままでは英語を直感的に理解できない。

日本語は比較的自由に語順を変更できる(助詞で格を示す)のにたいし、英語は語順で格(他の語との関係)を示す。

このような言語的な差異があるので、スラッシュリーディングの練習が欠かせない。

3)英文を前から理解できる。

英語では動詞が前方に置かれるが、日本語では最後に置かれる。英語が苦手な人は、英文の後方を読んでから前に戻るような「返り読み」をしてしまうことがある。

スラッシュリーディングを繰り返すことで、英語の語順のまま理解できるようになる。

4)アウトプットの基礎力になる。

自分で文章を作るスピーキングやライティングにおいても、意味上の単位ごとに英語を把握する必要がある。スラッシュリーディングの練習は役に立つ。

スラッシュリーディングの注意点

構文解析による文法的な説明ばかりに力点が置かれ、スラッシュ単位で読むトレーニングがお座なりになっていることがある。

スラッシュを正しく入れられたかどうか、なぜそこにスラッシュが入るのか、といったことは練習の前段階であり、読むトレーニングが本番であることを忘れないようにしよう。

スラッシュリーディングの教材例

注)以下、スラッシュを置く位置を理解するための構文教材となります。構文力がある人は、どのような英文でもスラッシュリーディング練習が可能です。

総合英文読解ゼミ: 高校英語

「総合英文読解ゼミ:高校英語」のレビュー

構文の学習をはじめる一冊として有用。5文型を中心にして、200パターンの構文を丁寧に解説している。

類書と比べても構文解説の丁寧さが際立っている。著者の山口氏は「英文法講義の実況中継」でも知られるが、わかりやすい解説に定評がある。

英語構文全解説

「英語構文全解説」のレビュー

多少マニアックながら伝説の名著。上記の「総合英文読解ゼミ」と同じく山口氏の著作。

「読解ゼミ」と比べると、解説を削っていて、例文を増やし、網羅性を重視している。ある程度の構文力のある人が、英文読解のレベルをもう一段上げるときに有用。

究極の音読プログラム 初級コース

「究極の音読プログラム 初級コース」のレビュー

スロースピード・リスニング 、文法解析、スラッシュ音読、シャドーイングの4ステップで学習する。

スラッシュごとに内容を把握しながら音読する「スラッシュ音読」に特徴がある。スラッシュリーディングの音読バージョン。

スラッシュリスニング / サイトトランスレーション関連

英語スラッシュ・リスニングトレーニング

「英語スラッシュ・リスニングトレーニング」のレビュー

ニュース英語を素材にして、3つのステップでトレーニングする。

ステップ2でサイトトランスレーション、ステップ3でシャドーイングを行う。

スラッシュリスニング(サイトトランスレーション)がシャドーイングの効果を引き出すことを実感できる。

超英語思考リスニング

「超英語思考リスニング」のレビュー

チャンク(意味のカタマリ)ごとに英語を理解するトレーニングを行う。簡単な英文を使って、スラッシュ・リスニングを行う。

英語のレベルは簡単だが、文章を連続させることでリスニングの難易度を上げる工夫をしている。

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