英語構文全解説

英語構文全解説

著者:山口 俊治
出版: 研究社
発行日:2013/5/21

あらゆる英語構文を網羅的に解説している参考書。

「コンプリート高校英語構文」を大幅加筆し、補講も付けた。

カリスマ講師だった山口俊治氏の集大成ともいえる大著。

何度でも甦(よみがえ)るカリスマ講師

山口俊治氏は、「山口英文法講義の実況中継」で知られる伝説の講師。

受験参考書「山口英文法講義の実況中継」は、「英文法TRY AGAIN!」というタイトルで一般向けに出版されている。

本書は、「コンプリート高校英語構文」を大幅加筆して出版されたもの。

内容が良くて支持者が多いだけに、原稿が何度も蘇っている。

文法教材と構文教材の違い

本書のような構文教材は、どういった人に有用だろうか。

まず「文法教材と構文教材の違い」について確認したい。

  • 文法:英語の規則を説明したもの
  • 構文:形式面から見た英語の構成

どちらも英文の組み立てを説明するものなので、かなりの部分は重なっている。

ただし、一般的な文法教材は、基本的な「英語の作り方」を解説している。

たとえば比較級だったら、「~よりも~」を意味する英語の作り方を学ぶ。

それにたいして、構文教材はあらゆる形式(パターン)を抜き出して整理している

比較級だったら、「比較級 + than」「比較級 and 比較級」「the + 比較級」「比較級 than any other」「否定語 + 比較級 + than」「比較級を含む慣用表現」など。

構文はリーディングスキルを上げるために

簡単な英会話を学ぶだけなら、文法教材があれば充分なので、本書は不要かも知れない。

というのも、英会話の基本は、自分の使える範囲でコミュニケーションを取ること。

伝えたい内容を言える範囲でパラフレーズする。相手の言うことがわからなければ、自分の理解で正しいか聞く。それが英会話だ。(→英会話とスピーキングの本

それにたいして、構文教材はリーディングで使われる。

英文を読むためには、構成を見抜く必要がある。

あらゆる構文(形式)を理解しておくことで、英文を速く正確に読めるようになる

ということで、本書のような構文教材は、英語のリーディングスキルを上げたい人にお勧めしたい。

本書の構成

本書は680ページの大著で、山口氏の集大成ともいえる内容。

本書の構成を簡単に紹介したい。

それぞれの構文にたいして「基本例文」を提示して解説する。

その後、類例研究、EXAMLES(例文)と続く。さらに発展研究が続くこともある。

構文の基本を理解した上で、さらに理解を深めていく構成。

総合英文読解ゼミ」とほぼ同じ構成になっているが、「類例研究」「EXAMLES」「発展研究」が手厚くなっている。

「総合英文読解ゼミ」は通読するための教材で、本書は必要な部分をじっくり学ぶ参考書といえそうだ。

例文が多くて理解が進む

本書の特徴は、とにかく例文が多いこと。

「基本例文」の解説と「類例研究」が終わった後で、以下のように数多くの例文を挙げている。

上記は、”with + 名詞 + ~ing”関連で、副詞的修飾語句として用いられる構文。

どの項目もそうだが、ひと通りの解説が終わったあとで、数多くの例文がある。

その項目をしっかり理解できているかどうかの確認ができる。苦手な項目をしっかり読み込めば、自信が出てくるはずだ。

英語構文談義で価値が増している

本書には、補遺(ほい:あとから補った部分)として、「英語構文談義」が付属している。

100ページほどの英語構文エッセイとなっている。

主な内容は、「主要な構文の要点と解説」となっていて、著者の講義風の解説がある。

たとえば、「関係代名詞から関係副詞へ」という項目では、「その機能が代名詞か、それとも副詞であるか」によって違いがあるにすぎないので、「地名・場所の後の関係詞にはwhereが使われる、といった誤った先入観」について注意している。

さまざまなポイントを語り口調で解説していて、この補遺だけでも一冊分の教材として成り立つ価値がある。

ファンなら「あとがき」も必読

本書の「あとがき」には、山口俊治氏の人生が綴られていた。

太平洋戦争中の小学校時代からはじまり、中学で初めて英語と接したときのこと。高校時代に猛勉強と続く。

「伊藤和夫先生との出会い」「『英文法講義の実況中継』の反響」なども。

山口氏の教材にお世話になった元受験生にとって、興味深い内容となっている。

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