英語教材のトレンド

英語教材の流行をざっとながめてみよう。

総合英語型(60年代~)
一定の素材を使って表現・語彙・文法など総合的に学習する教材。NHKラジオ英語講座アメリカ口語教本などが典型。独学の学習教材として現在も頻繁に用いられる。学校英語の授業でも定番となっている。一文づつ和訳していく対訳タイプの学習に陥りやすい。
精読・構文解析型(70年代~)
英語の構造を一文づつ解析していく文法重視の学習。文法的な裏付けをすべての英文に求めるアカデミックなアプローチで、今現在でも受験英語では必須。70年代に受験競争が激しさを増し、予備校の地位が向上するとともに、予備校の現場から流行したと思われる。
会話型(80年代~)
英会話教材が流行。精読に偏っていた英語学習の反省や海外旅行者の急増という背景があると考えられる。独学用の英語学習素材としてダイアローグ(会話)が頻繁に用いられるようになった。フレーズ丸暗記型の粗雑な英語教材も急増。
トレーニング型(90年代~)
多聴の流行を経て、同時通訳式のトレーニング法(ディクテーション、シャドーイング)が注目される。ビジネスでの英語需要が高まったため、本格的な英語力を求める風潮が背景にあったと考えられる。この時期に、学校英語で音読が一般化する。
多読型(2000年~)
語彙制限つきのネイティブ児童向け洋書Graded Readersが教材として人気を博す。背景として、英語は日常で使う必要がないために、日常的に楽める学習が求められたと考えられる。また、従来の学習者は英語に触れる機会が圧倒的に不足していたため、学習効果が高かったという点も人気の背景といえるだろう。
ライティング型(2010年~)
発信型(アウトプット型)のライティングトレーニングが流行しつつある。背景には、メールやブログが浸透したことによって「書く」ことが当たり前となり、自己表現の喜びを味わう機会が増えた点が考えられる。また、今までアウトプット型の英語学習が手薄だっただけに、学習効果が実感しやすいという側面もある。
スピーキング型(予測)
これから流行する可能性のある英語教材として、ネットを通じた双方向タイプの英語学習が考えられる。スカイプを使ったマンツーマンのネット英会話はすでに流行の兆しがある。この方向でいくとしたら、フリートークが困難な初級者に向けて、ロールプレイやクイックレスポンスを効果的に使ったネット英会話が流行するかも知れない。
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