中学レベルの英単語でネイティブとサクサク話せる本[会話力編]

中学レベルの英単語でネイティブとサクサク話せる本[会話力編]

著者:ニック・ウィリアムソン
出版:ダイヤモンド社
発行日:2013/5/17

独自のNic式英会話メソッドを提唱しているニック・ウィリアムソン氏の著書。

姉妹本「中学レベルの英単語でネイティブとペラペラ話せる本!」では、「英語の思考回路と骨格」に焦点を当てた。

本書では、「会話力」をテーマにして、思考を減らすために「塊を組み合わせる」こと、そして「自分からエピソードを語る」テクニックを伝授する。

明確な狙いと豊富な練習

ニック氏の提唱するNic式英会話のテーマは、以下の2つ。

1.会話する場面で、考える量をどれだけ減らせるか
2.ネイティブと同じ思考回路で英語を意識すること

本書もまた、考える量を減らすための豊富な練習を行う。そのどれもがネイティブの思考回路を染み込ませるための明確な狙いがある。

学習効果については太鼓判を押したい。英語が口から出てこない人に強く推奨。

英会話の原則は塊

日本語から英語に訳したり、文法項目を意識したら、何年たっても英語を話せるようにはならない。英語を話すときには、考える量を少なくすることが大切。

英語表現を塊(かたまり)で憶えることで、自分が考えなければならないことがほとんどなくなる

これが最初の主張。

たとえば、”go home”という基本的な表現がある。これを塊で覚えているから英会話で使える。

go と home をバラバラの単語で覚えていると、go to homeのような間違いをしたり、home に my をつけるべきか?などと余計なことを考えてしまう。

同様に、”get money out”(お金をおろす)、”make dinner”(夕食を作る)など、あらゆる日常表現を塊で覚えている必要がある。

「go homeではなぜ to がいらないのか?」といった文法パズルに入り込む必要はない。日本の学校では教えているが、そんなことはネイティブでも知らない。

余計な文法事項を考えてしまうと口から英語が出てこないので、考えないようにすることが重要だ。

“Can I…?””I have to…”といった表現も塊で憶える。

塊ふたつを組み合わせれば、”I have to go home.”といった英語が考えずに口から出てくる

そして、ここからがニック氏の本領発揮で、上記の主張を徹底したパターンプラクティスで身につける。

上の画像は、「今していること/一時的なこと」を相手に尋ねる表現のパターンプラクティス。

パターンプラクティスという点では、「瞬間英作文」「毎日の英文法」「NOBU式トレーニング」と同じなのだが、それらの本は文法項目で整理されている。

ニック氏の本は徹底して英会話のノウハウと密着した形で行うパターンプラクティスだ

考えないようにするテクニック

ニック氏は自身が日本語の習得で苦労した経験を持っている。同時に、20年以上にわたり数多くの日本人に英語を教えた経験がある。

そのため、日本人に役立つ英会話のノウハウを知り尽くしている。

たとえば、相手からの質問に応えるときに、「前置詞をそのまま使う」というものがある。

質問してきた相手の言葉には、応えるときに使う前置詞が含まれているのだ。それを使うようにしよう。

些細なノウハウのようだが、日本人は前置詞について考えてしまうことが多いからこそ、ニック氏は掲載したはず。すべてのノウハウは、英語で話すときに考える量を減らすため。

こういった英会話のノウハウが本書にはたくさん盛り込まれている。

英語で話をするためのメソッド

本書は【会話編】だけあって、会話のテクニックが手厚い。

会話においては、体験談とか最近の出来事など、自分のことを披露しないと盛り上がらない。単に、相手の話に相づちを打っているだけでは「あなたの話には興味がない」と受け取られる。

そこで、自分からエピソードを語るための練習を行う。

具体的には、「1.出だし」「2.状況説明」「3.出来事」の順で、使える言い回しをドリルで身につけていく

たとえば、「・・・なことがあった(「変なことがあった」など)」「・・・だと思う?(「今日、どこに行ったと思う?」など)」といった、出だしで使われる表現を多数ドリルで身につける。

このようにして、状況説明や出来事についても、英語で話せるように確実に導いてくれる。

本書は、口から英語を出すためのメソッドが明確。それを身につける練習量も豊富で、生きたノウハウが山のようにある。

本書の内容を一通りマスターすれば、確実に英語で話す力がつくはずだ。

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