英会話なるほどフレーズ100 著者:スティーブ ソレイシィ, ロビン ソレイシィ |
英会話の出発点として、ごく簡単な表現を100個マスターしようという教材。 初歩の英会話教材として絶大な人気を誇る。
“Thank you”レベルですぐに口から出てくる表現を増やして、それを応用させる学習法を提案している。
まず100個の表現を覚えることからスタートする
本書では、ネイティブの子供がよく使う英語表現を学ぶ。
ステージ1の「BABY」からはじまって、「KID」「CHILD」「PRETEEN」「TEENAGER」の5ステージ。
ノンネイティブの私たちにとっても、最初に学ぶ英語表現として適切なものばかり。
たとえば、以下のようなフレーズを学ぶ。
<My [体の部分] hurts. 「・・が痛い」>
My tooth hurts. 「歯が痛い」
My head hurts. 「頭が痛い」など。
日常的に使うので、知っておかないとまずい表現だ。
解説がしっかりしているので、理解を深めながら100の表現を身に付けることができる。
表現だけを見れば簡単に思えるかも知れないが、”GROWN-UP”コーナーでは、大人になったら使う表現について解説している。
さらに、 one more step(応用)やエクササイズやがあるので、NHKの基礎2くらいのレベルに相当する。
NHKの基礎2は、中学2年の英語レベルになるが、そのレベルの英会話ができる人は少ないので、幅広い人に有用な教材といえるだろう。
英会話が苦手な人、これから初めて英会話を学びたい人は、どこから手をつけていいかわからないと思う。そのような人に向けて、「とりあえず、本書から始めてみたら?」と安心して薦められる教材である。
基本表現を自分のものにできているか
以前「国際人の英会話学習法」をレビューしたが、著者のスティーブソレイシィ氏は、英語習得について明確な主張をもっている。それは、応用の利くフレーズをマスターして瞬間的に口から英語を出てくるようにする、というもの。
難しい英語をどれだけ学んでも、いざ会話のときに黙ってしまっては意味がない。すぐに口から出てくる表現を増やしていくことが英会話のコツとなる。
基礎フレーズをマスターしておくことの大切さは、以下のような例でも理解できる。
本書には”What’s wrong?” という表現が出てくる。
“Thank you.” と同じレベルの基礎フレーズといえるだろう。しかし、これを基にして、以下のように応用できる。
What’s wrong? どうしたの?
What’s wrong with this? これはどうしたの?
What’s wrong with the boss today? ボスはどうしたの?
What’s wrong with the printer? プリンターはどうしたの?
What’s wrong with this idea? このアイディアは何がいけないの?
基礎フレーズを応用させると、ビジネスシーンで使われるような表現となる。つまり、ビジネス英会話であっても、基礎フレーズの発展に過ぎない。
そして重要なのは、もっとも基本となる”What’s wrong?”が自分のものになっていないと、応用フレーズが口から出てこないという点だ。
いきなり「ミーティングの英会話」といった教材を買ってきて、What’s wrong with this idea? などの表現を山ほど見せられても、おそらく身につかないはずだ。
まず、とっさに口から出てこない。なぜか。もっとも基本の”What’s wrong?” が自分の言葉になっていないからだ。
コアとなる表現が自分のものになっているからこそ、自然に言葉は増えていく。「ひとつずつ、英語という道具、つまり「ことば」をマスターしていったほしい」という本書の提案は、説得力のあるメッセージではないだろうか。