中学レベルの英単語でネイティブとペラペラ話せる本! 著者:ニック・ウィリアムソン |
著者は、英語講師・タレントとして活躍しているニック・ウィリアムソン氏。
日本人が使う英語の問題として、「時制の間違いが一番多い」「難しい単語を使いすぎる」という2つに注目。
時制をしっかり意識しながら、簡単な英単語を使うのが、本書の英会話のコツ。
日本語ネイティブが苦手な部分
ウィリアムソン氏は豪州人として英語ネイティブであり、日本語を習得している。
そこから、日英言語の違いとして、重要な気づきにいたった。
日本語は時制にこだわらない。その一方で、英語は単語の使い分けにこだわらない。
まず、日本語は時制があいまいなのは確かだ。
「普段、何していますか?」
「今、何していますか?」
「明日、何していますか?」
時制が違うのに「何していますか?」という同じフレーズを使う。「普段」「今」「明日」という単語によって使い分けているのだ。
英語は時制を意識して英文を作らないと通じない。
日本人が英語を話すときには時制の間違いが多く、それが英語でのコミュニケーションを困難にしている。
では、「英語は単語の使い分けにこだわらない」とはどういうことだろうか?
言われてみて気づいたが、日本語はごく単純なフレーズでも、単語を使い分けている。
日本語の「通う」「向かう」「行く」「通勤する」「通学する」は、英語なら go 一語で表すことが多い。
ということで、ここから英会話のコツが明らかになる。
時制にしっかり注意しながら、簡単な英単語で話すこと。
難しい英単語を学ぶ必要はない。中学レベルの英単語でいいから、時制を使い分けて話せるようになることが大切だ。
時制のパターンプラクティスで身に付ける
本書は解説のセクションだけでなく、練習を行うセクションがある。もちろんCD音声付き。
時制を意識してもう一度きっちに身に付けようという狙い。
こうやって、時制を意識しながら様々な表現パターンを身に付けておく。
実際の英会話のときでも、しっかり時制を意識できるようになるはずだ。
本書を読むと、時制は文法事項の1つではなく、英語の要であると痛感する。
かたまり(型)で英語を話す
本書のもう一つの主張は、英語はかたまり(型)で話すこと。
これは英会話のコツとしてよく知られる、チャンクのこと。
文頭に I’m glad をつければ、「~で良かった」という英語になる。
I’m glad I learn English. 「英語を習っていて良かった」
I’m glad you like it. 「気に入ってくれて良かった」
I’m glad I didn’t go. 「行かなくて良かった」
重要なのは、I’m glad 「~で良かった」とか、It’s too bad 「~で残念だ」といった固まりで覚えていること。
細かい文法を意識せずに、そういった固まりを繋げることで英会話ができるようになる。
本書はそういったパターンプラクティスも行う。
表現(かたまり=型)を練習しておくことで、Thank you レベルで複雑な英会話ができるようになる。
便利な英会話のコツ
さらにもう1つ紹介したい。
本書は英会話のコツとして、修飾語を1語つけるだけでシンプルに伝わるコツも練習する。
修飾語を1語つければ、シンプルに表現できる。
He came home early. 「彼が早く帰ってきた」
He came home late. 「遅く帰ってきた」
He came home tired. 「疲れて帰ってきた」
He came home angry. 「怒って帰ってきた」
こういったシンプルな表現が、英語らしい表現といえる。
この他にも、定番のwithでつなげて、英文を作る練習も行う。
見事にまとめられた英会話の導入教材
本書は、単に頻出表現を練習するのではなく、「時制」「かたまり」「シンプル化」という主張がある。
学習しながら意識を向ける先が明確になっている。当然ながら、そういう英語教材は学習効果が高い。
「簡単な英語なのに口から出てこない」という人にとって、ひと通り練習すればかなり自信がつくはず。
本書は自信をもってお勧めできる名教材だ。
姉妹本「中学レベルの英単語でネイティブとサクサク話せる本[会話力編]」もおすすめ。