毎日の英文法 頭の中に「英語のパターン」をつくる 著者:James M. Vardaman 出版:朝日新聞出版 発行日:2012/9/7 |
英文法のパターンプラクティス本。
中学英語レベルの文法項目ごとに14個の例文が並んでいて、声に出して練習する。
コンパクトな本の中に解説と例文が綺麗にまとまっている。
最初の一歩はパターンプラクティス
本書は典型的な文法パターンプラクティス本なのだが、非常に綺麗にまとまっている。
「文法パターンプラクティス」というのは、以下のように文法項目ごとに例文が並んでいる本。
上記画像は「Whichで始まる疑問文」のページで、見開きで14個の例文が並んでいる。
この例文を何度も読んで、聞いて、音読して、暗唱する。
余裕がある人は、ステップ2の例文の一部を換えて英作文することになっている。
そうやって、自分でも「Whichで始まる疑問文」を作れるようにするのが狙い。
文法をマスターするには、このようなパターンプラクティスが欠かせない。
本書が推奨するトレーニング法
- 準備:解説を読む。
- リスニングと音読:音声を聞いてテキストを見ながら音読。
- レシテーション:ワンセンテンスの音声を聞いて、テキストから目を離して暗唱。
- 入れ替えトレーニング:例文の主語や動詞を入れ替えて、自分なりに自由英作文をしてみる。
3番目のレシテーション(暗唱)だが、音声が流れているあいだはテキストを見ることになっていた。
最終的にはテキストをみないで、音声を聞くだけでリテンションすることを目指したい。
中学英語レベルを収録
本書では、中学レベルの英文法が一通り掲載されている。
一見すると簡単だが、自分で話せるようになることが目的なので、幅広いレベルの人に有効だ。
注意点として、「完了形」が「その他の時制」として付録的な扱いになっている。また「仮定法」は掲載されていない。
本書に掲載されている文法項目は、あくまで中学英語のレベルにおさめている。その他の文法項目については、続編に期待したい。
コンパクトな解説の役割
本書の各ページ上部が解説になっている。
限られたスペースだが、必要な情報が盛り込まれていて、学校で習ったことを思い出すには十分だ。
解説の最大のメリットは、単調さを避けることかも知れない。
英語フレーズがただ並んでいるだけの本だと、ページを開いたときに単調過ぎて、勉強する気が起きなかったりする。
パターンプラクティス自体が単調な練習なので、フレーズ羅列では飽きてしまう。
最初に解説を読むステップを加えることで、飽きを防止する効果がある。
短いフレーズが秀逸
本書のフレーズは、よく使われる自然な口語で書かれていて、良質な例文ばかりだ。
フレーズの内容も日常生活に密着していて親しみやすい。
しかし、一番の魅力は、フレーズの短さにある。わずか5~7単語で作られたフレーズばかり。
本がハンドブックのように小さいので、紙面の都合もあるだろうが、意図的に短いフレーズが選ばれているのは間違いない。
短いフレーズだからこそ、文法項目が際立つので、効率的に学習できる。
また、音読や暗唱といった声に出す練習を何度もする気になる。
文法パターンプラクティスの例文として模範的ではないだろうか。
14という絶妙のバランス
パターンプラクティスの教材は、例文(フレーズ)の「数」が問題になる。
- 例文が多すぎると単調になって練習が続かない。
- 例文が少なすぎると学習効果が薄くなる。
このバランスを取るのが難しいのだ。
本書の「1項目で14フレーズ」というのは、絶妙な練習量ではないだろうか。
これ以上でも以下でもなく、14こそが絶妙なバランスだと思った。本書を真似る教材が今後は増えそうだ。
英語が話せないと思ったら「毎日の英文法」から
それらの定番本と比べても、本書はまったく引けを取らない。自信を持っておすすめできるパターンプラクティス本になっている。
今後、長い期間にわたって売れ続けるはずだ。
「英語が口から出てこない」と思ったら、まず本書から始めてみてはいかがだろうか?
確実に、英語力の向上を実感できるはずだ。