日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術 エール大学厳選30講 著者:ウィリアム・A・ヴァンス, 神田房枝(監訳) 出版:CCCメディアハウス 発行日:2011/3/29 |
エール大学のヴァンス博士による英語コミュニケーション講義。
日本人の盲点となっているアドバイスを厳選。必読の一冊。
英語圏におけるコミュニケーションの常識
タイトルに「ワンランク上」「エール大学厳選」とあるので、さぞかしハイレベルな内容だろうと身構える人が多いはず。
プロローグ(前書き)には、「まったく新しい次元へ皆さんをご招待します」とまで書いてある。
しかし、中身を見ると拍子抜けすることになる。些細なTIP集に過ぎない。 たとえば次のような項目がある。
- Thank you の後に「何についての感謝」なのか付け加える。
- I’m sorry. は「自信のなさ」を伝える。日本語の「すみません」の口癖感覚で言わない。
- 口ごもってしまうくらいなら、veryをつけて相手の文章を肯定する。
- NOとあからさまに言わない。婉曲的・建設的に断る。
- ピンポンのように即答しない。相手の言葉をどのように理解したのか伝える。
- You can で相手に提案するのは失礼。
- 会話の最後には「話せてよかった」「もっと話したい」という気持ちを伝える。そうすると良い印象を残せる。
このような「ちょっとしたアドバイス」が30連発で続く。似た話をどこかで読んだことがあるかも知れない。
しかし、一通り読んでみると「なるほど!」と妙に納得してしまった。
意思疎通をはかる英語は、普通の英語教材で学ぶことができる。その先の「ワンランク上」とくれば、本書の内容になる。
流暢な英語よりも大切なこと
コミュニケーションは「ちょっとしたコツ」で多くが成り立っている。
たとえば項目12の「また会いたいと思われる人の会話の締めくくり方」では、以下のポイントを解説する。
- 会話を締めくくるシグナルを送る
- 相手の名前を効果的に使う
- 話せてよかったという気持ちを告げる
- 言い訳する(会話を打ち切る言い訳)
- もっと話したい気持ちを表現する
- ポジティブな一言を添える
絶対に知っておきたい英語表現ばかりだ。
本書を一読すると、英語のコミュニケーションを円滑に行うための基本的なコツを習得できる。流暢な英語よりも大切なことだ。
日本語のコミュニケーションでも大切なこと。本書を読めば、普段のコミュニケーション力が上がるかもしれない。
英語のレベルに関係なく役立つ内容だし、ビジネスに限らず、どんなシーンでも有効なアドバイスとなっている。
英語を教える立場の人は、本書にあるアドバイスを学生に伝えてほしい。おすすめの一冊。