どんどん話すための瞬間英作文トレーニング 著者:森沢 洋介 出版:ベレ出版 発行日:2006/10 |
中学レベルの簡単な英作文をたくさん行う。
「英作文」といっても書くわけではなく、口頭でスピーディーに英語にしていく。
定番教材といえば「瞬間英作文」
大型書店ならどこでもシリーズが平積みされているほど人気で、アマゾンのランキングでも常に上位にいる書籍。
2010年発行の版が手元にあるが、なんと25刷。書店で買う英語教材としては、DUO3.0に並ぶほどの大ヒットとなった。
著者である森沢洋介氏の学習法ガイド「英語上達完全マップ」も合わせて読んでほしい。
簡単な英文をたくさん作る
本書の学習方法は、簡単な英文をスピーディーに作っていくというもの。「これは良い辞書です」といった簡単な日本語を大量に英作文していく。
「英作文」といっても何かに書く必要はない。テキストを見て口頭でスピーディーに英語にする。左ページの日本文を見て、口頭で英語を発声して、右ページで解答を見る、という流れになる。
レベルは中学1~3年の英語で、各項目は文法・構文別に並んでいる。
This isといった内容からはじまって、最後の方では関係副詞や使役を使った文章になる。このレベルの英語を話せる人は少ないので、大多数の英語学習者に適している。
音声CDも2枚付属。テキストを使わずにCDだけで瞬間英作文が可能。一通りテキストで練習してから、復習用にCDを使うといいだろう。
「基本構文を徹底アウトプット」の教材は昔からあった
本書の提唱する「簡単な英文をスピーディーに作る」というメソッドは昔からあった。
たとえば、「英語できますか」は、2001年に当サイト(旧サブドメイン)を開設してから一押しで推奨した教材である。
→ 英語できますか?―究極の学習法(Amazon.co.jp)
「英語できますか?」の方はそれほど注目されていなかったが、「瞬間英作文」は爆発的にヒットした。
その理由はわからないが、「瞬間英作文」という造語が大きかったかも知れない。一つの学習メソッドとして認識されたことで、「やってみよう」という人が増えたと考えられる。教材制作者にとっては、ネーミングの重要性を思い知るケースとなった。
潜在的な英語力を開花させるトレーニング
このトレーニングをした人は、急に英語が話せるようになって驚くかも知れない。
単純なトレーニングなのだが、「アウトプットの練習をすれば話せるようになる」という当たり前の成果である。英語が話せない人は、この当たり前の経験をしてほしい。
ただし、中学英語をこなす力が前提となる。それまでの学習によって中学レベルの英語力が潜在的に備わっている人ほど、このようなトレーニングで劇的に話せるようになる。
逆に言うと、もともと中学レベルの英語力がない人にとっては、本書のトレーニングをやっても学習効果は薄いかも知れない。英作文の答えをみてもチンプンカンプンだろうし、ただのフレーズ丸暗記になってしまう。
そういう人は、中学英語の地道なインプット練習(音読・リピーティング・文法・語彙)を大切にしよう。インプット練習と組み合わせる形で本書を使うなら問題はない。
リハーサルの必要性
以前、「外国語学習に成功する人、しない人」という書籍をレビューしたが、そこではリハーサルを重視していた。
リハーサルというのは、自分で英語(英文)を作ってみる学習である。用意されている英文テキストを練習するだけではなく、自分でゼロから英語を作る練習をする。これをしないことには、いつまでも英語を発信できない。
ただし、いきなりゼロから自由英作文できるレベルに達していない人が多い。その点、瞬間英作文なら取り組みやすい。
リハーサルの前段階として、簡単な日本語を手掛かりにした導入トレーニングになりえる。中学レベルの英語は身についているけど、アウトプット練習が手薄だという人にお勧めしたい。
シリーズ多数
瞬間英作文は人気教材だけあって続編が多い。
→ 瞬間英作文シリーズ(Amazon.co.jp)
1作目の「どんどん~」をやってみて気に入ったら、次のシリーズへ進んでみてはいかがだろうか。
1作目は中学1~3年の基本構文を使った英文なので、英語力の基礎となる。