英語のスピーキングが驚くほど上達する NOBU式トレーニング【MP3 CD付】 著者:山田暢彦 出版:IBCパブリッシング 発行日:2016/3/24 |
英語を話せるようになるためのパターンプラクティス系教材。
レベルは中学1年~3年で、使われる文法・構文がステップアップする。
「瞬間英作文」「毎日の英文法」と似ているが、本書独自の工夫がある。
インプット・アプトプットの2段構成
本書の特徴は何と言っても「インプット→アウトプット」の構成にある。
詳しく中身を見てみたい。
中学1年の内容で、「動詞のあとに目的語が続かない場合」(自動詞)の項目。
このページがインプットとなる。
主語動詞の後で、「前置詞+名詞」を使って情報を捕捉する例文が並んでいる。
色分けされていてわかりやすい。
ここを「リーディング」「音読」「シャドーイング」する。
アウトプットでアドバイス
インプットのページをめくると、今度は見開きでアウトプットの項目。
同じ文法・構文を使って、アウトプットの練習を行う。
アウトプットは、日本語から英訳する。
まずテキストを見ながら英訳。その次にテキストを見ないで音声の日本語だけを聞いて英訳するトレーニングを行う。
ページ上部の説明には、アウトプットのコツを説明している。
まずは<主語+動詞>を組み立てましょう。その次に、「どこに?(どこで?)」という情報を補うようにして<前置詞+名詞>のカタマリを続けます。「動作」→「具体的な場所」の流れがポイントです。
なかなか良いアドバイスではないだろうか。こういったアドバイスがあると、トレーニングをやる気になる。
今までのパターンプラクティスと何が違うか
本書は、「瞬間英作文」「毎日の英文法」と似ているが、英語を話すためのコツを伝えようとする工夫がある。
このあたりは関係代名詞の項目をみるとわかりやすい。関係代名詞を使って話すのは、初級者にとって難しいはずだ。
色分けの工夫だけでなく、右側の和訳に注目。
These are pictures I took in Kyoto.
「これらは写真 私が京都で撮った(これらは私が京都で撮った写真です)」
最初からカッコ内の完成された和訳「これらは私が京都で撮った写真です」を見せられてしまったら、関係代名詞の英文を返り読みするようになってしまう。
そこで、チャンクごとに意味を把握する和訳を載せていることで、英語の語順で意味を理解できるようになる。
小さな工夫ではあるが、初級から初中級レベルあたりの人にとって役立つと思う。
ページをめくったアウトプットの項目。
ここも色分けがしてあってわかりやすい。赤色の部分は、関係代名詞を使って情報を追加する部分だ。
これは私が誕生日にもらったシャツです。
「これはシャツです」をまず言って、そのシャツの情報を関係代名詞で説明するのが一瞬でわかる。
関係代名詞を使う際は、「どんな〇〇かと言うと・・・」とつなげる感覚を意識して使いましょう。
こんなアドバイスもある。
色分けの工夫とアドバイスによって、関係代名詞を使った英語の感覚がよくわかる。
本書はこのように、例文を羅列しただけではなく、ちょっとした工夫をしているところが売りになっている。
このような工夫が欲しい人にとって、有力な選択肢となる教材となる。
山田暢彦氏の本
著者の山田暢彦氏は多数の英語教材を執筆している。
当サイトでも「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。」「絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編」はすでにレビュー済。
どちらも良書としてお勧めしてきたが、学習者の視点にたった工夫が盛り込まれている点に特徴がある。