決定版 英語シャドーイング超入門

決定版 英語シャドーイング[超入門]【CD付】

著者:玉井 健
出版:コスモピア
発行日:2008/4/25

シャドーイングを解説した教材。

中学英語レベルのやさしい英語素材を使っている。

複数のトレーニング法を使った学習プログラムになっている。

これからシャドーイングをはじめる人に最適。

「超入門」は「シャドーイング初心者」という意味

シャドーイングの教材といえば「KHシステム」だが、TOEIC650以上の実力がないと消化できない。

初級レベルのシャドーイング教材が待たれていたところに、やさしい英語素材を採用した本書が登場した。

ただし、最初こそ中学1年英語教科書レベルの英会話素材だが、後半になると中学3年教科書レベルになる。

最初はやさしい。↓

後半になるとレベルアップする。↓

それでも、中学2年から中学3年前半くらいの英語レベルだが。

いずれにしても、「超入門」という言葉にひかれて、まったく英語力のない人がはじめてしまうと、後半はまったく消化できないはずだ。

「超入門」というのは、あくまで「シャドーイング初心者」という意味で、英語力のことではないから注意しよう。

ということで、「中学英語がなんとかわかる人で、シャドーイング未経験の人」に最適な教材となる。

シャドーイング経験がない人なら、中級レベル以上の人にもお勧めしたい。

講師と生徒がシャドーイングをやってみせる実技も付属

シャドーイングの練習自体は、英文と音声があればどの教材でも可能だ。

シャドーイング教材というからには、「実際にシャドーイングとはどういうものか?」と伝えてこそ意味がある。

そのためには、講師が実際にシャドーイングをやってみせる実技が欠かせない。

本書のCDにも、最後の方で「シャドーイング実技レッスン」が付属されている。

講師の玉井氏が実際にプロソディ・シャドーイングとシンクロ・リーディングをやってみせてくれる。

さらに、生徒役の女性がシャドーイングに挑戦するのがいい。それほど英語が得意でない生徒がやると、どのような感じなのかがわかる。

その2人のシャドーイング実技によって、未経験者でもシャドーイングのイメージを掴める。

しっかり練られた学習プログラム

本書は、シャドーイング初心者に向けて、以下の6ステップのトレーニングを提案している。

  1. リスニング :テキストを見ないで全体の意味を取る。全体的な特徴をつかむ。
  2. マンブリング :テキストを見ずに、口の中をブツブツつぶやく程度でシャドーイング。
  3. テキストで意味や英語の確認 :意味のわからないところを確認する。
  4. シンクロ・リーディング :CD音声に合わせてテキストを見ながら音読。(=オーバーラッピング)
  5. プロソディ・シャドーイング :音の再現を重視してシャドーイング。
  6. コンテンツ・シャドーイング :意味をとりながらシャドーイング。

それぞれの素材で上記のステップで学習する。

シャドーイングの前にシンクロ・リーディング(オーバーラッピング)をすることは、初級者にとって非常に大切。

音だけを聞いて再現するシャドーイングは難易度が高い。まずはオーバーラッピングでテキストを見ながら口を慣らしておく。

マンブリングも良いステップだと思った。

テキストを見る前に、ブツブツつぶやいて、ぶっつけ本番のつぶやきシャドーイングをやっておく。これによって、学習意欲が上がるし、後になって実力向上を実感しやすいはずだ。

上記6ステップは、よく練られた学習プログラムになっている。

英語の素材も面白い

本書に収録されている英語素材は4つのステージに分けられている。

  • Stage 0 :短くてやさしい会話。
  • Stage 1 :少し長いダイアログになる。
  • Stage 2 :モノローグ素材。
  • Stage 3 :なま素材がテーマ。インタビューやVOA。

少しずつ英語レベルがステップアップしているので、シャドーイングの上達にともなって、挑戦意欲を掻き立てるものになっている。

英語素材の内容も多様で、飽きることがない。

ステージ3では、スチュワート・アトキン氏やクリストファー・ベルトン氏など、在日経験のあるネイティブへのインタビューがあり、興味深かった。

ということで、本書の学習プログラムにしても、英語素材にしても、緻密に編集されていて、優れた英語教材となっている。

本書にはいくつかシリーズが出ているが、KHシステムと並ぶ「シャドーイング定番教材」といえる。

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