英語の品格 著者:ロッシェルカップ , 大野和基 |
英語がストレートな言葉だという通説は間違いであり、日本人が話す英語は「ぶっきらぼう」に聞こえるという。
ロッシェル・カップ氏はグローバル人材育成を支援する会社の社長。
最初に習った英語が危険
本書は日本人英語の問題点を網羅している。
たとえば、Please という表現。中学校で、「Please をつければ丁寧になる」と習わなかっただろうか?
こんな単純な理解なままで、英語圏で仕事をするのは危険過ぎる。Please は、むしろ威圧的な言い方としてよく用いられるのだった。
日本人の話す英語が「ぶっきらぼう」だというのは、たしかによく耳にする。
おそらく、中学校で学ぶ基本英語が、ぶっきらぼうなのだ。7,8歳の子どもが話すレベルの言葉は、どんな言語でもぶっきらぼうだが、その段階の英語だと考えられる。
その英語のままで海外で仕事をするのは危険だ。本書は、英語を学ぶビジネスパーソンの必読書となる。
アメリカ人の本音
本書はかなり率直に、アメリカ人の本音が語られている。
- アメリカ人は無意識に外国人をみな「移民」とみていて、英語を覚えるだろう期待する
- (アメリカ人は)外国語を話す難しさを十分理解できないし、英語を母語にしない人の立場に共感できない
- 語彙力がその人の教養レベルや知的レベルの指標になっている
- (英語での)話が上手にできない人は能力が足りないと判断されてしまう
- 幼稚な表現や品のない言い回しを使ったときに、その人が外国人だからと大目に見ることはない
すべての人がそうではないのにしても、上記のような英語中心主義は、アメリカにおける現実の一端なのだろう。
本書はこのほかにも、(日本は学歴で差別されるが)アメリカは平等である、と断言されている。アメリカは平等な国という「信念」があたかも「事実」であるかのように記述されているのだった。
自らの文化を無意識にスタンダードだとみなすことは、どの国でも同じなので、彼らがそう考えていても不思議はない。
ビジネスのために英語を学んでいる人にとって、本書はアメリカ人の本音(アメリカの現実の一端)に触れる良い本になる。
現地に飛び込んでビジネスの成功を目指すなら、彼らの本音を知っておきたい。
知りたかった内容が次から次へと出てくる
本書は、品格のある英語、つまり上品で丁寧な英語表現を解説している。
類書は数多くありそうだが、本書は1つ1つの切り口が素晴らしい。
- policyを使ってさりげなく依頼・命令を行う
- できないことを伝えたい場合のコツ
- 無理なお願いをする方法
- 同感の意を伝えたいとき
- 日本の擬態語や擬声語をどう表すか?
- 短くぶっきらぼうではなく、完結した文章で会話をするのが大切
- 疑問文を平叙文で言うと品格が上がる
- 表現を和らげることは品格につながる
- ゆっくり話してもらいたいとき
- 急ぎではないと伝えたいとき
- ほめられたときの答え方
- noを言わない否定
などなど。「これは知っておいて良かった」と思う内容が多い。
今まで自分の話してきた英語が「ぶっきらぼう」だったかどうか、ぜひ本書で確認してほしい。
新書サイズなので紙面に限りがあり、1つ1つの項目はあっさり書かれている。もっと詳しい解説がほしかった項目もあるが、読んでおきたい内容ばかりだ。
繰り返しになるが、ビジネス英語を学んでいる人にとって、本書の内容は必読となる。