[新版]50イングリッシュ 著者:パク サム , 青柳 優子 (翻訳) 出版:ダイヤモンド社 発行日:新版 (2009/6/19) |
韓国のベストセラー。2003年に日本でも出版され、2009年にCD付きの新版が出た。
英語の50フレーズを徹底して覚えることを推奨している。
その文例を応用させることで、英語が話せるようになる。
米国留学の経験が原点
とにかく、50フレーズを徹底して暗記する。
この学習法は、著者のパク サム氏の経験が元になっている。
パク氏は、米国に留学しているときに、教室で「半導体の作動原理」を説明することになった。
留学1年目の段階で、英語で1時間の講義をすることになってしまったのだった。
目の前が真っ暗になったパク氏は、わき目も振らず講義の脚本を暗記した。数十回にわたる講義の練習をこなした。
そして当日、教授から激賞されるほど英語の講義が成功したのだった。
その後の変化も興味深い。
それ以降、講義内容だけでなく、他の英語もスラスラ出てくるようになり、はっきり聞き取れるようにもなったという。
ここで、英語習得の方法論に開眼する。
限られた範囲内の英語を徹底して学習することで、英語力のコアとなる部分を作り、自信をつけること。
これが本書「50イングリッシュ」の原点となる。
自らの経験から導き出された学習法は、読んでいても説得力がある。
暗記の重要性
語学において、暗記の効果は間違いなくある。
暗記といえば「英語力が飛躍するレッスン」がまっさきに思い浮かぶ。教科書の丸暗記を目指すハードな学習法だが、間違いなく効果はある。
本書「50イングリッシュ」はわずか50フレーズに限られているので、無理のない学習量となっている。
フレーズの応用
フレーズを応用させる点では、スティーブ・ソレイシィ氏の「英会話なるほどフレーズ100」などが類書となる。
少ないフレーズを覚えて、それを応用させる。学習の方向性は同じだ。
本書「50イングリッシュ」は、フレーズを暗記するための補助があるところが最大の特徴になっている。
英語フレーズを徹底して料理する
本書を手に取るとけっこう分厚い。
中をみると何度も50フレーズが出てきて、徹底して50フレーズを料理していることがよくわかる。
わずか50フレーズといっても、そのフレーズを応用させれば広範囲で使える。
上記は、暗記するフレーズではなく、そのフレーズを基にした会話になっている。
CD付きなので、音声でも学習可能。
上記は、フレーズの中の単語を一部入れ替えて、別のフレーズにしている。
1つのフレーズを暗記すれば、このように応用可能であることがよくわかる。
本書を読めば、50フレーズは少ない数ではなく、充分に英語力のコアとなりえることがよくわかる。
知識量を追うのではなく、限られた英語を応用させる姿勢を見習いたい。
「暗記するほど」ではなく「本当に暗記する」
そして何より、本書の面白いところは、本当に暗記すること。
50フレーズを暗記するほど学習する・・・ではなく、本当に暗記しなくてはならない。
暗記するための方法論がある。
1つ1つのフレーズに「物語」が書いてあり、イラストを見ながらそれを読む。
そのようにして、ストーリーとイメージによって、50フレーズを暗記する補助が付いている。
そこまでして、本当に暗記しなくても・・・という気もするが、暗記してこそ意味があるというのが本書の主張。
他の類をみない個性的な教材だ。
暗記したくなるかどうか
暗記する英語学習で重要となるのは、その英語を暗記したくなるかどうかという点。
その英文に惚れ込んで、「暗記したい」と思える英語を暗記するのが一番だ。そうでないと、暗記学習は苦痛になる。
その点で、本書「50イングリッシュ」は英語フレーズの魅力がいまひとつだった。別の素材で本書の学習システムを試してみたくなる。
いずれにしても、本書の哲学「少ないフレーズを完全暗記して応用させる」は、英語習得で欠かせない視点である。