TOEICテスト公式問題集の120%活用法 著者:千田 潤一 |
TOEICテスト公式問題集を使って、英語力を上げる方法を解説する。
新TOEICの解説もあるが、いわゆる普通の英語学習法ガイド。
書くトレーニングに独自性がある
著者の千田 潤一氏は、「英会話・ぜったい・音読」の共著者として、学習法のページを執筆していた。
本書では下記7つの学習法を解説している。英語学習法に詳しい著者だけに、重要なトレーニングが網羅されている。
- 音読
- 音読筆写
- ディクテーション
- シャドーイング
- Listen & Repeat (リテンション、センテンスリピート)
- 日英速音読(タイムを計って早口で音読)
- スラッシュ・ライティング
音読から始まって、レベルが上がるごとに次の学習法を試すことになる。
「音読筆写」「スラッシュ・ライティング」あたりは初めて聞いた人が多いかもしれない。模範の英文を真似て「書く」トレーニング法になるが、著者は以前から筆写の提唱していた。
「音読」「シャドーイング」といった声に出すトレーニングは当たり前になっているが、「筆写」「スラッシュライティング」といった書くトレーニングを実践している人は少ない。
効果のある学習法なので、興味がある人はぜひ試したい。ライティングの学習法については英語ライティングの学習法で解説しているので、そちらも参照してほしい。
TOEIC問題集は素材として使える
本書の特徴は、英語学習の素材としてTOEIC公式問題集を使う点にある。
TOEIC問題集だからといって、必ずしも問題を解いて正解を目指すわけではない。公式問題集の英文や音声をそのまま素材として日々の学習で使えばいいのだ。
たしかに、TOEICはビジネスシーンを取り上げた標準的な英文+音声なので、わざわざ他に素材を探す必要はないかも知れない。
ビジネス英語を学ぶ人にとって、TOEICの問題はそのまま英語素材になる。(新TOEICになってからビジネス以外のシチュエーションが増えているので、広範囲の人に有効)
TOEIC公式問題集を素材にすれば、TOEICのスコアを上げるのにも役立つから、TOEICを受ける人にとっては一石二鳥になる。
言われてみればもっともな話だが、意外に気づかない盲点だった。
意欲的な内容だが評価を得にくい本
ということで、本書はなかなか面白い本だったが、購入した人は不満をもったかも知れない。
というのも、本書のタイトルから新TOEIC対策を期待した人は、TOEICに特化した内容がほとんどないので不満をもつはず。
多くのページは「普通の学習法ガイド」なので、新TOEICとあまり関係がない。
一方で、英語学習法の解説を期待して買った人は、各章に付属されるTOEIC問題が不要だと感じるはず。
TOEIC問題を付けることでページを水増ししているかのような印象さえ与えてしまっている。
ということで、読者から評価が得にくい本となっているが、ビジネス英語を学ぶ人にとって有益な内容だと思う。
当レビューで興味を持った人は、読んでみてはいかがだろうか。