同時通訳が頭の中で一瞬でやっている英訳術リプロセシング

日本語を加工すれば英語で話せる

日本語として当たり前に使っている表現でも、いざ英語で話そうとすると戸惑うことが多い。たとえば、「よろしくお願いします」「大変申し上げにくいのですが」「本日はお疲れ様でした」などの表現がある。

こういった「いかにも日本語らしい表現」というのは英語にできない。英語にするためには、英訳できる程度に日本語を変形させる必要がある。そのことを同時通訳の世界ではリプロセシング(再加工)というらしい。

これは「日本語の発想」から「英語の発想」への変換といえるだろう。本書は、主にビジネスシーンで使われる100の日本語表現にたいして、再加工のやり方を紹介している。

リプロセシングの具体例

本書の中から「そこを何とか」という表現について紹介したい。これはどのような英語にできるだろうか。

ステップ1 : 分かりやすい日本語へ。

「そこを何とか」を解釈する。どういう状況で、どういったことを伝えるために使われているだろうか。

こんな風に解釈できる。→「そうしていただくのは難しいことを重々分かっていますが、あえてこのお願いをしなくてはならないのです」

ステップ2 : 英訳できる日本語へ。

伝えたい内容を維持しながら、より英語にしやすい言葉へと置き換える。

「そうしていただくのは難しいことを重々分かっていますが」→「私はその困難さを理解している」。

「あえてこのお願いをしなくてはならないのです」→「私はそれでも大きな好意を請わなくてはならない」。

すると以下のような英語にできる。

「そこを何とか」→

I understand the difficulty, but I’d still have to ask you this big favor.

日本語力が第一

「国語が苦手な人は英語も苦手」という話を聞いたことはないだろうか。上記の具体例でも明らかなように、英語を話すためには、英語以前に日本語の深い理解が要求される

条件反射的に「そこを何とか」などの決まり文句を使って生活している人は、いざというときに伝えたい内容を英語にできない。英語を知らないというより、英語にできそうな日本語へと再加工できないからである。

たしかに母国語というのは日常の習慣の中で無意識的・条件反射的に使いがちだが、それでは外国語が上達しないことがよくわかる。それぞれの言語は1対1で対応しないので、日本語を自在に言い換えて、より英語に近い発想へと歩み寄っていかないと英語が口から出てこないのだ。

つまり、英会話が得意になりたいなら、日本語にたいして (言葉そのものにたいして) もっと意識的になるしかない。

ちなみに、「日本語の表現を加工して英訳できる形にする」というのは、ヤスの英語でも中心的なテーマになっている。同時通訳という職業の人だけに求められることではなく、英会話をするなら誰もが通る道といえるだろう。

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