なぜあの人は、中学英語でもネイティブと仕事ができるのか?

なぜ英会話ができないか

ネイティブの英語講師である著者は、ハワイで英会話スクールを経営している。多様な国籍の人々に英語を教えた経験から、日本人に特有の問題を指摘している。

まず、日本以外の国の人々は、でたらめな英語を自信をもって楽しく話すという。

たとえばフランス人は、英語のレッスンが終わると「楽しかった」「もっと話したい」というようにレクレーションの後のような雰囲気。

しかし、日本人はレッスン中には話したがらないし、レッスンが終わると「やっと終わった」と苦痛から解放されたようなリアクションをとる。

世界中のほとんどの人にとって英会話は楽しいことなのに、なぜか日本人の多くにとっては苦痛になっている。

本書が訴えているのは、日本人にとって「英語力をつけよう」という発想は問題の解決につながらないということ。問題は英語力ではない。根本的に異なるアプローチが必要だ。

なぜ日本人は英会話ができないかといえば、「すでに持っている英語力を、気軽に、自信をもって使えないから」だという。

「気軽に、自信をもって」というのがポイント。他国の人は、英語力があってもなくても、気軽に自信をもって英語を使う。なぜ日本人はそうでないのか。

本書はこの観点から、一読に値するアドバイスは数多くしている。日本人によく見られる「パニック・イングリッシュ」(切羽詰った英語)から「リラックス・イングリッシュ」にすること。ミスのない完璧な英語を目指すのではなく、好かれるチャーミングな英語を心がけることなど、など。

たとえば、「間違えないように・・・」という発想をすることが根本的な間違いで、間違えるからこそ好かれるのである。英語がわからなくて言葉が出てこないときも、パニックになって押し黙るのではなく、チャーミングな決まり文句を覚えておけばいい。

コミュニケーションの考え方を180度転換する

本書で書かれていることは、ちょっとした心の持ちようだったり、それぞれのシーンで有用な英語表現だったりする。内気な人が一読して別人になるような魔法が書かれているわけではない。

しかし、本書のテーマは、英会話の核心部分ではないだろうか。今もっている英語力でそれなりに英会話ができないなら、この先どんなに英語力をつけても英会話はできない。

問題は英語力ではない。コミュニケーションに完璧を求めるような発想、間違えることが恥ずかしいという発想。隙を見せたくないという発想。そこが問題なのだ。この部分に心当たりのある人には一読をお勧めしたい。

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