会話もメールも 英語は3語で伝わります 著者:中山 裕木子 |
特許翻訳者の著者が、英語のコツを解説した本。
「主語・動詞・目的語」を軸にすることで、簡潔に伝わる英語になる。
著者が出演したテレビ番組「世界一受けたい授業」も話題になった。
「3語で伝わる英語」とは何か
本書は、「主語・動詞・目的語」の英語を提案する。(5文型のSVO)
たとえば、「あなたの仕事は何ですか?」と聞かれたときに、日本人は以下のような英語を作りがち。
My job is an English teacher.
I am an editor of books.
そうではなく、「主語・動詞・目的語」のSVOを意識すれば、以下の3語の英語になる。
I teach English.
I edit books.
この方が、断然シンプルで伝わりやすい。必要であれば、この3語に情報を付け加えていけばいい。
I teach English to university students.
I edit books for business people.
3語で伝わる英語といっても、文字通り3単語で英語を作るわけではなく、SVOの軸を作ることがポイントとなる。
母語の干渉を乗り越えるコツ
なぜSVOの3語で英語を作るべきなのか。
日本語の干渉を乗り越えやすいからだと思われる。
上記の例文のように、日本人は”My job is …””I am …”といったようにbe動詞を多用するが、日本語をそのまま英訳するからそうなる。
結果として、be動詞ばかりの冗長でぼやけた英語になってしまうし、使用する単語数が多いので難易度が上がる。
SVOで英語を作れば、「私は~をしている」という簡潔な英文になるので、英語を作りやすい。
他にもこんな例があった。
「今から旅行の概要説明します」と言いたい時に
We will now give you an outline explanation of the tour.
日本語の「概要説明」を表現しようとして、こんな英語を作ろうとする。そして、この英語がなかなか出てこないから、英語が話せないし書けないことになる。
しかし、3語の英語にするとどうなるだろうか?
We will now outline the tour.
ここまでシンプルになる。SVOの英語を作ろうと意識することで、「概要説明」という日本語の干渉を受けずに、英語が作れるようになる。
本書はあらゆる角度から、SVOの英語を作ることの有効性を解説する。
日本語に引きずられると、条件のIf文を多用しがちだが、まず条件文を抜きにしてメインの3語を作る。
そうすると意図が明確に伝わるうえに、余裕があれば後でIf文を加えることもできる。
このように、SVOで英語を作ることは、母語の干渉を乗り越える秘訣なのだった。
本書を一読すれば、英語をアウトプットする自信が出てくるはず。
シンプルな英語は第三文型にたどり着く
SVOで英語を作ることは、グロービッシュでも強く主張している。
「イディオムを捨てる」「受け身を捨てる」「難しい時制を捨てる」など、本書の主張はグロービッシュと重なる部分が多い。
さらに、昔のベストセラー「ビッグ・ファット・キャット」でもSVOの第三文型を「基本形」にしている。
シンプルで伝わりやすい英語を目指すと、「主語・動詞・目的語」の第三文型が基本になるのだろう。
ということで、SVOの3語に注目するのは、決して本書のオリジナルではない。
ただし、シンプル英語をテーマにした類書の中で、本書がもっとも学習効果が高い気がした。
「3語の英語」に情報を足していくコツも豊富で、より実践的な解説をしている。
「会話もメールも」とあるように、あらゆるアウトプットに有効なコツなので、幅広い人に本書をお勧めしたい。