ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本 著者:向山 淳子, 向山 貴彦, studio ET CETRA, たかしまてつを 出版:幻冬舎 発行日:2001/12/20 |
英語の仕組みをわかりやすく解説した本。
「従来の文法解説では英語がわからない」という人に向けて、英語の核となる部分をシンプルにまとめている。
2002年、全書籍のベストセラーで2位に入るほどブームになった本。
英語のエッセンスを独自の解釈で
本書は英語の仕組みを解説しているのだが、従来の文法用語を使っていない。
主語 → 主役
目的語 → 脇役
修飾語 → 化粧品
こんな感じで、親しみやすい言葉を使っている。
英語に苦手意識があって、従来の文法用語にアレルギーのある人には、「もう一度英語をやってみようか」という気になるかも知れない。
英語の仕組みについても、イラストや色分けを使って、親しみやすい解説を目指している。
あらゆる文法事項を説明しているわけではなく、「可能な限りシンプルに、最小限に」まとめている。
英文のパターンについて、以下のような仕分けをしている。
- 基本形の文(従来の5文型でいえば第3文型を基本に置いている)
- イコール文
- 否定の文
- 疑問の文
- B消失文
- and連結文
- A→B/B’
- A→B=B’
- 代役の文
従来の肥大化した英文法とは異なり、ごく最小限のパターンでまとめている。
本書の後半には簡単な英文物語があって、1文毎に仕組みを解説する。物語を読みながら英語の構造が自然と身に付くようになっている。
英文法を勉強しないなら、せめて本書くらいは読みたい
英語のエッセンスを独自の解釈で紹介しているので、意欲的な本であることは間違いない。
しかし、従来の文法解説と比べて、「わかりやすい解説になっているか?」と聞かれると、なかなか評価が難しい。
英語に苦手意識がない人にとっては、従来の文法解説書を学んだ方が、理解が早いような気がする。
ただし、「英文法を勉強する気になれない」という人にはお勧めできる。本書を読めばなんとなく英語の全体像がつかめるはず。
英語の全体像がわかってくると、「もっと知りたい」と思って、従来の英文法をやってみる気になるかも知れない。
ということで、本書のターゲットは、従来の英文法を勉強する気になれない人だと思われる。
昔の大ベストセラー
本書は2002年に全書籍の中で発行部数2位に入るブームとなった。
今でも、大型書店とかAmazonでは見かけるが、話題にはならなくなった。本書の役割が終わったのかもしれない。
初級者にとって本当に役立つ教材なら、もう少し話題に出てもいいはずなのだが。
ともかく、本書のような「工夫に満ちた教材」は今後も出てきてほしい。