「達人」の英語学習法

「達人」の英語学習法

著者:竹内 理
発行:草思社
発行日:2007/11/23

英語上級者の言葉を集めて、そこから効果的な英語学習法を導き出す。

成長する学習法だけでなく、失敗しやすい学習法も浮かび上がる。

データというより経験談まとめ

副題に「データが語る」あるが、統計データを用いているのはごく一部で、「臨界期仮説」を検討した1章がほとんど。臨界期仮説とは、12~15歳を過ぎると外国語の習得が困難になるという通説のこと。

結論としては、臨界期を過ぎても外国語は習得できるが、個人差が出るという。

では、その「個人差」はどういった差なのか。第2章でその点を検討するが、性格、動機、興味などを列挙する。

そして3章以降から英語学習法ガイドとなる。

英語の達人たちの経験談をもとに英語習得のヒントを探っていく。ほとんどのページは「経験談」が根拠になっている。最近、内容と一致しないタイトルをつける書籍が多くなったように感じるが、いかがなものか。

基礎力がつくまで量を追わない

「達人」の英語学習法とはどういったものか。

大半はオーソドックスな内容だが、印象的なのは「初期~中期」と「中期以降」での学習法の違いである。

リスニング、リーディングともに初期の段階では1語1句にこだわって分析的に学習して、基礎力がついたら大量の英語に触れていくということ。「初期~中期」は精聴・精読、「中期~」は多聴・多読となる。

これは当たり前の話なのだが、わからない英語をいくら聴いたり読んだりしても意味がない。基礎力がつくまでは、文法はもちろんのこと、根気強い音読リピーティング練習を繰り返すしかないのだ。

英語達人の学習法

その他、本書の中で印象に残った論点をピックアップしてみよう。

  • 英語の達人は、目的(意義)を持たずに言語能力を上げることに熱中する人が多い。
  • 英語の達人は、英語の使用機会を増やすことに涙ぐましい努力をしている。日本では英語を使う機会がほとんどないから、工夫して使用場面を作っていくしかない。
  • 簡単なことばかりやっても上達しない。現状より上を目指して、適度な負荷をかけ続けないと英語の上達はない。
  • 「深く・細かく(精聴・精読)」と「浅く・広く(多聴・多読)」は両立しない。学習段階によって切り替える。
  • 例文の徹底的な暗記はスピーキングの基盤作りになる。
  • スピーキングにおいて、初期は「流ちょうさ」を目指し、中期以降から「正確さ」を目指す。これも両立はできないので、段階によって切り替える。初期のうちに正確さにこだわってはいけない
  • ある程度まで英語を覚えた後に文法を学ぶことで知識が再整理される。すると「腑に落ちる」経験をすることになる。文法を出発点にしない。すでに頭の中にある英語の再整理(体系化)が文法学習のポイント。
  • 学習コミュニティに参加することで他人に監視してもらうメリットがある。

スピーキング(英会話)において、初期の段階に正確さにこだわることはマイナスになる点を覚えておきたい。

受験のために英語をしても、簡単な英会話さえできない。これは当然のことなのだ。

本書には有益なアドバイスが多く含まれていた。ただし、思ったより「達人」たちの経験談は少なめなので、もっと多くの経験談を読みたかった。

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