英語は「やさしく、たくさん」

英語は「やさしく、たくさん」

著者:伊藤 サム
出版: 講談社インターナショナル
発行日:2003/12/12

やさしい英語をたくさん聞いたり読んだりすることからスタートする学習法を提唱。

従来の英語学習は、訳読式の「難しく少し」だった。そこから「やさしく、たくさん」への発想の転換を求めている。

著者の伊藤氏はジャパンタイムズの元編集者・記者で、NHKラジオ英語講座の講師も務めている。

「やさしく、たくさん」の定義

ところで、本書のいう「やさしく、たくさん」とは、具体的にどういうことだろうか。

超やさしい英語をたくさん(あるいは繰り返し)
聞いたり読んだり(話したり書いたり)し、
だんだんレベルを上げていく

超やさしい英語」というのがポイント。自分にとって超がつくほどやさしい英語をたくさん学習する。

具体的に「日本語に訳さずに理解できる程度」といった記述もある。

This is a pen.レベル(中学1年レベル)なら日本語に訳さずになんとか理解できるという人は、そのレベルを繰り返し学習しよう。

簡単な英語をたくさん読む。読むだけでなく、聞く、話す、書く、すべてのスキルで超やさしい英語をしっかり学習する。

疑う余地のない英語学習のムーブメント

やさしい英語といえば、簡単な洋書( Graded Readers )の多読学習が2000年初頭から流行している。「やさしく、たくさん」は英語学習のムーブメントだ。

当サイトでも「自分にとって難しい教材を使わないように」と提言しているが、実力を超えた教材を使うと効果がないばかりではなく、学習意欲まで失ってしまうものなのである。

英語の勉強が楽しくないという方には、今使っている教材のレベルを引き下げることをお薦めしたい。どこまで引き下げるかといえば、英語学習が楽しくなるレベルまで引き下げるのである。

本書でも、「やさしいと、楽しい」という点に言及している。

英語学習が楽しくないなら、そのレベルはあなたに相応しくない。楽しくない英語学習はもうやめよう。

なぜ英語の間違いが繰り返されるのか

本書の中に出てくる「化石化」という言葉に注目。「化石化」とは、繰り返し同じ間違いをしてしまうことを指すという。

たとえば、「私は英語で自由に話すことができます」と伝えたいときに、「自由に」を反射的に freely にしてしまうケースがある。これは、「自由」=freeといった対訳が頭の中で化石になっているからこそ起こる間違いで、「対訳癖」(母語の干渉)が原因だと思われる。

「難しく少し」の学習を続けていると、母語の干渉によって、簡単なミスを繰り返すようになる。

「やさしく、たくさん」の英語学習は、対訳せずに英語で考えることを促す学習法なので、化石化の対策になる。

基礎レベルの英語をたくさん学ぶことは、その後の英語力の性質に関わってくる重要なポイントなのである。

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