速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4 著者:松本茂 ,Robert L. Gaynor, Gail K. Oura, 藤咲多恵子 |
ニュース記事を素材にして、リーディングとリスニングの学習をする。同時に、英文に出てきた英単語1400と熟語500の合計1900語を身に付ける。
本書の特徴は、2通りのスピードで音声を吹き込んでいること。英語圏のニュース放送で話される平均スピードのfast speedと、ゆっくり吹き込んだslow speed。
スロースピードの方では、意味のまとまり(スラッシュ)ごとに若干のポーズをとっているので、スラッシュリスニングに使うことができる。
硬派の英文で学ぶ
本書で学習する英文は、ロイターやAP通信といったメディアの記事だけでなく、本書のオリジナル記事もけっこう多い。
テーマは、環境、教育、社会、政治、経済、司法、テクノロジー、医療の8章に分かれている。幅広いジャンルの記事が掲載されている。
上記写真は目次だが、とにかく硬派な内容が多くて驚かされる。
「異人種間結婚」「英国政府、政治改革を計画」「臓器買収で男女を逮捕」「ティーパーティー運動」などなど。
読みごたえのあるニュース英語に触れながら、重要語が学習できます。
という本書のキャッチコピーも納得。
英字新聞を読めるようになりたい人にとって、この教材は良い練習になる。硬派な英文で学ぶので、中級レベルがターゲットになる。
英文は短いが密度が濃い
本書には64の英文記事が収録されているが、1記事あたりの文字数は短い。
どの記事も上記写真くらいの長さで、6センテンス(2つ程度のパラグラフ)しかない。
英文の内容が硬派なので、ちょうど良い分量だと思った。
それぞれの記事には、1900語(見出し語)が整理されている。
見出し語をみると、それほど難しいわけではない。
英文の中には難しい語彙も出てきて、colorectal cancer 「結腸直腸がん」、precancerous polyps「がん性のポリープ」などがある。
これらの難しい語彙は、最初に「語句・構文」として紹介されている。本書で学習する1900語(見出し語)には含まれない。
ダイアローグシリーズと好対照
上記のように、英文と和訳のあとで、学習する英単語(見出し語)が整理されている構成になっている。
これは、ダイアローグ1800と同じ構成で、「速読速聴・英単語」シリーズと「ダイアローグ」シリーズはよく比較される。
どちらも膨大な素材を提供しているし、「文脈の中で英単語を覚える」というコンセプトも同じ。
ただし、英文の内容が好対照となっている。
- ダイアローグ1800は、軽めの長い会話
- 速読速聴・英単語は、硬派の短いモノローグ。
両方の教材を揃えている学習者が多いかも知れない。英文のタイプが違うだけに学習効果が高くなる。
速読速聴・英単語をどうやって学習するか
速読速聴・英単語は、1900の見出し語に含まれない難しい語彙とか、固有名詞が出てくる。
素材が英文記事だけに、構文のレベルも高くなる。
この教材をいきなりリスニング学習するのは、難易度が高くなる。
最初は、英文を見ながら音声を聞くオーバーラッピングからはじめて、リーディング学習を軸にして、しっかりと語彙を学ぶ。
最後の仕上げにリスニングに入ってはどうだろうか。
スロースピードの音声はスラッシュごとにポーズがあるので、スラッシュごとに意味を把握するスラッシュリスニングができる。また、シャドーイング学習もやりやすい。
英文が短いので、聞き流して語彙を確認するような学習ではなく、徹底して英文を料理する精読学習に向いている。