ここがおかしい日本人の英文法

ここがおかしい日本人の英文法

著者:T.D.ミントン
出版:研究社出版
発行日:1999/10

著者は、日本で英語を教えて20年になるネイティブ講師。

日本人が間違いやすい文法・語法を解説している。シンプルなのに印象に残る見事な解説。

会話に役立つシンプル英文法

レベルは中2~高2程度の基礎的な内容だが、モノにするのが難しい文法ポイントを解説しているので、上級者でも一読の価値がある。

「ネイティブが書いた文法教材」というのは良書が多く、「日本人の英語」や「日本人に共通する英語のミス151」などがある。

その中で本書の特徴を挙げるとすれば、ネイティブの感覚をシンプルに解説していることだろうか。 実際に引用してしまったほうが特徴が伝わるかも知れない。

以下、「過去形と現在完了型の違い」の項目のごく一部を引用する。

I had lunch.

という文に含まれている情報は、それだけでは何らかの結論を引き出すには不十分。話し手のさらなる説明が必要となる。

I’ve had lunch.

には現在との強いつながりが示されている。例えば「(昼食はもう食べてしまったので)昼食の誘いには応じられません」「(昼食はすませたので)今は時間があります」とか。

本書はこんな感じで、ネイティブの感覚を解説していく。その英語を話しているとき、ネイティブは何を考えているか。それを説明することで、読者に文法の本質を伝えようとしている。

「現在完了には継続、経験、完了、結果があって・・」なんていう形式的な解説とは、モノが違うことを理解していただけただろうか。細かい受験文法をやってきた人は、本書を読むことで肩の力が一気に抜けるはず。

また、本書の例文はすべて短い口語調フレーズを使っている。上記の “I had lunch.” のような易しい例文を使って、すべての文法事項を解説していく。そのシンプルさに驚くばかりだ。

消えていくには惜しい教材

T.D.ミントン氏による本書のシリーズは、2000~2005年あたりの定番教材だった。書店でも平積みが当たり前だったと記憶している。

しかし、新刊の英語教材が次から次へと出版されるので、「悪貨は良貨を駆逐する」というべきか、最近は見かけることが少ない。

名著を埋もれさせないというのは、当サイトの役割の一つ。10年以上前に刊行された教材だが、本書は間違いなく「これからも残すべき教材」といえる。

本書を試してほしいのは、「文法は一通り終えたけど英語が口から出てこない」、「勉強はしているけど英語が自分のものになっていない」といった人たち。ネイティブがどのような意識で英語をしゃべっているのかを知ることで、ブレイクスルーのきっかけがつかめる。

また、英語教師の方にもお勧めしたい。本書を虎の巻にすれば、好評の授業になることだろう。

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