日本人に共通する英語のミス151

日本人に共通する英語のミス151

著者:ジェイムズ H.M. ウェブ
出版:ジャパンタイムズ
発行日:増補改訂版  2006/12/5

隠れた名著として知られる教材。

著者は日本で英語を教えているネイティブ。生徒たちがいつも「決まった間違い」をしていることに気付き、その繰り返される間違いを本書にまとめた。

掲載されているミスのレベルは、ほとんどが中学英語の範囲内。「日本人に共通するミス」としてリアリティのある内容となっている。

英単語のミスを指摘

ミスの種類としては、英単語の誤使用によるものが目立つ。

たとえば、「狭い」=「narrow」といった覚え方をしていると「部屋が狭い」というときに narrow を使ってしまうミスが出る。

英単語を日本語で一対一対訳させるとミスの原因となることがよくわかる。多くの英語に触れていくうちに修正されていく面もあるが、英単語の語義・語法に注意を払いたい。

その他の項目をいくつかピックアップしてみよう。

  • 「(職場・場所・色が)合う」というときに fit を使うミス。
  • 「許可を与える」というときに admit を使うミス。
  • 「プレゼントをする」という動詞で present を使うミス。
  •  much と a lot of の使い分けでミス。
  •  enjoy に目的語がないミス。

本書を読んで思ったのは、英語を「知っている」というのと「使える」というのは別だということである。

ごく簡単な英単語(文法・語法)であっても、それを正しく使えるとは限らない。

簡単な英単語を正しく使いこなせない理由

インプットに偏った学習をしていると「知ってはいるけど使えない英語」になりがちである。

英語を読んだり聴いたりするときには、中途半端な理解でもなんとなく意味がとれる。しかし、その単語を使って英文を書いたり話すときには、中途半端な英語では通用しない。

つまり、本当の英語力はアウトプット練習のときに身に付くと考えられる。

著者は大学講師なので、大学生に教えた経験が本書のベースになっている。

中学・高校で英語を6年間学んだ大学生が enjoy を正しく使えないというが、これは重箱の隅をつつく試験英語に時間を費やして、アウトプット練習をしてこなかった結果ではないか。

本書は日本の英語教育の問題点を告発しているように思える。

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