英語多読 すべての悩みは量が解決する! 著者:繁村 一義, 酒井 邦秀 (著, 監修),NPO多言語多読 出版:アルク 発行日:2018/7/17 |
2000年代初頭に英語多読ブームを作った酒井氏が共著者。
酒井式(SSS方式)多読学習の最新ガイド。
多読三原則はそのままに、あらゆる多読の疑問に答えている。
英語多読の公式本
英語多読ブームの原点となったのは、酒井氏の「快読100万語!ペーパーバックへの道」から。
本書は酒井氏の他に、繁村氏およびNPO多言語多読が共著者に名を連ねている。
NPO多言語多読は、酒井氏の提唱する多読を普及させるための非営利団体。
そして繁村氏はその非営利団体の理事。
つまり本書は、現在の多読ブームを作った酒井氏とその仲間による公式本となる。
第一章「これまでのあなたの英語学習法は間違いだらけ」、第二章「多読にはどんな効果があるのか?」を酒井氏が執筆し、三章以降は繁村氏とNPO団体が担当している。
多読三原則の軸がぶれない
酒井氏の提唱する英語多読は昔からブレていない。
まず多読三原則がある。
- 辞書は捨てる
- 分からないところは飛ばす
- 自分に合わないと思ったら投げる
辞書を引いたり、無理して英文を読むことはいっさいしない。読める英語、読む気になる英語を楽しみながら読むだけ。
もう1つの特徴は、やさしい英語を読むこと。
ネイティブの児童向けに書かれたやさしい洋書「Graded Readers」、あるいは他の児童書やマンガでもいい。
「多読三原則」と「やさしい英語」。この2つの軸によって英語多読ブームを作ったが、20年近くたっても軸はまったくぶれていない。
過去の成果をすべて踏まえた最新バージョン
本書の内容は、英語多読の全般的な学習ガイドとなっている。
これ以上ないほどわかりやすく多読の魅力を伝えている。
過去20年近くのあいだには、著者のもとに様々な声が寄せられている。
そういった成果をすべて踏まえたうえで、多読についての疑問と悩みに答えている。
また、この20年でネットの学習環境が様変わりして、英文を読むだけでなく音声が手に入ったり、動画を観ながら学習できるようになった。
本書ではネット上の様々な素材を紹介している。
リーディングにとどまらず、他のスキルにも役立つ学習法へと進化していた。
多読学習をはじめるときは本書から
多読ブームの原点である「快読100万語!ペーパーバックへの道」は、酒井氏の主張が前面に出ていて、若干読みにくいかも知れない。
本書はより読者に寄り添って書かれているので、広範囲の人に多読の魅力が伝わるはずだ。
なんといっても、多読の基本は、楽しむこと(=苦しまないこと)。その哲学が徹底しているのは酒井氏(およびそのグループ)だ。
この哲学にブレがあると、なぜ多読がこれほど受け入れられたか?という部分が見えてこない。
「英語の多読学習」をテーマにした書籍は数多くあるが、本書を第一にお勧めしたい。