1日6分英会話 著者:遠山顕 出版:旺文社 発行日:2010/7/9 |
1レッスン6分で完了する英会話教材。全部で20レッスン(120分)収録。
NHKラジオ講座の人気講師だった遠山顕氏の英会話レッスン。
NHKラジオ講座の雰囲気がそのまま楽しめる。
6分はこれほど長い
英会話の勉強が「1日6分」という衝撃的な短さ。実際に本書を試すと、内容が充実していることに驚くはず。
一例として「レッスン8:案内」の章をご紹介したい。
CD音声の中に遠山氏の解説すべてが入っている(1レッスン6分間の音声講座)。音声を聴きながら本を読もう。
最初の1分間は、左ページ。イラストの4コマを見ながら、ダイアログを聞く。合計4フレーズ(会話のキャッチボール2回分)のやりとり。
本書の狙いは、英語のキャッチボールができるようになること。そのため、1フレーズの言いっ放し表現ではなく、ダイアログを重視している。
次の2分間は、右ページ。キーフレーズの解説がある。
How do I get to Super Stadium?
How do I get to ~?とHow do I go to ~の違いを解説している。
次に、置き換え表現。たどり着くのが難しそうなとき、フレンドリーな問いかけをするとき、情報がほしいときなど。英語で道を尋ねるときは、ニュアンスによって使い分けるようにガイドしている。
たった3分でここまで内容が充実している。
後半3分間は見開き2ページ。実際に口に出して練習する。聴いたり読んだりするだけでは英語表現は身につかない。自分で発声するトレーニングがしっかり確保されている。
遠山氏の発音解説。キーフレーズの組み立て発声練習。そして会話のロールプレイング。
ロールプレイング練習については、好き嫌いがあるかもしれないが、ぜひ実践してほしい。音声のポーズの間に発声しないといけないので、それなりに切迫感があり、英会話の練習として効果的だ。
ということで、合計4ページ分で、6分間のレッスンだった。「6分はこんなに長いのか」と驚くような充実の内容。
さらに各レッスンに2ページの「使える表現」の付属がある。
このページの部分は音声はない。レッスンのテーマに即した重要表現と解説がある。レッスンを聞いた後で学習しよう。
別構成でマンネリ防止
レッスン1からレッスン10は、「基本定型フレーズを覚えよう」という章で、上記の内容。
レッスン11からレッスン20は、「基本動詞を使いこなそう」という章で、構成が変わる。
多様な意味を持つ基本動詞について、重要な表現を学んでいく。各意味毎にダイアログで学習。声に出す練習はもちろん含まれている。
レッスンの構成は変わるので、飽きがまったくない。とても良い工夫だと思った。
英会話は気軽に上達する
音声講座が6分なので、復習とか付属の学習をするなら15分程度だろうか。1日1レッスン15分とみておこう。
1レッスンに英語表現を使いこなすコツが盛りだくさんで、声に出す練習も確保されている。
これだけ充実の内容でも1日たった15分の勉強時間。20日間(20レッスン)で、そこそこ英会話に対応できるのではないか。
こういった学習を1年2年と続けたら、どれほど力が付くことだろう。短時間の気軽で楽しい勉強であっても、英会話は上達する。
高望みして挫折するよりも、本書のように楽しく英会話を続ける道もある。海外旅行とか訪日外国人とのコミュニケーションなら十分に可能だ。
音声で英語講座を聴きたい人に
本書の特徴は、なんといっても遠山氏のNHKラジオ講座の雰囲気を味わえること。昔から変わらない遠山氏の和やかで楽しい雰囲気が魅力だ。
CD音声には遠山氏の日本語解説がたくさん入っているので、「音声で英語講座を聴きたい人」にぴったりの教材となる。(音声で解説している内容は本に書き起こされている)
リピーティング系のトレーニングをしたい人は、音声は英語だけを入れてほしいかもしれない。
しかし、遠山氏の講座は、筋肉質なハードトレーニングを目指すものではなく、肩の力を抜いて英語を楽しむところに魅力がある。
最後に、本書のレベルは中学英語レベルだが、英会話に自信のない人すべてにお勧めしたい。英語の知識がある人は、本を見ないで音声だけで学習するのもいい。