改訂3版 英語耳 発音ができるとリスニングができる 著者:松澤喜好 出版:KADOKAWA 発行日:2021/4/26 |
英語のリスニングをマスターするために発音を学ぶ。
初版の発行から20年たって改定3版となった。発音教材としては異例の人気教材。
発音練習はリスニングのため
「発音練習」というと、「ネイティブのように英語をしゃべるため」という誤解がある。(最近はこういう誤解をしている人は少ないが)
発音練習は、何より英語を聞き取るために必要となる。
日本人が英語を聞き取れないのはなぜか。
大きな原因は、日本語で使う音と英語で使う音があまりにもかけ離れているいることです。
はじめに 本書のねらい
英語には、日本語にない「音」がたくさんある。
多くの日本人は、英語を聞いたときに知っているカタカナ発音に置き換えてしまう。英語が聞き取れない理由はここにある。これを解消するためには正しい音を知る必要がある。
本書はかなりのページを割いて、発音練習はリスニングのために必要であることを説明している。
発音練習は単調なので、多くの人はやりたがらない。本書は「発音の必要性」をじっくり解説しているので、モチベーションをあげてくれる。
一つ一つの音素を練習
本書の半分は、発音練習(CD付き)が占める。この部分は、実をいえば他の発音教材とほぼ同じ。
英語の母音・子音それぞれの音素を練習する。口腔の断面図があり、発音のやり方を丁寧に解説し、CD音声を使って違いを認識し、発声練習をする。
自分自身が発声できないと違う音だと聞き分けることはできないから、発声練習は欠かせない。
音声変化も練習
発音習得で欠かすことができないのは、音声変化の部分。
音声変化とは、「語尾の子音と語頭の母音がつながる」(音の連結)とか「同じ子音が連続するときは2つ目だけを発声する」(音の消失)などのこと。
CD音声は、「ゆっくり、少し速く、自然に」の3スピードで収録されていて、音声変化がよくわかる。
型の次はParrot’s Lawへ
個々の音素と音声変化の練習は、いわば発音の「型」を学ぶこと。
それが終わったら、次は生の英語を使った練習法を提案している。本書ではそれを”Parrot’s Law”と呼んでいる。Parrotとは「鳥のオウム」のこと。鳥のオウムに人間の言葉を覚えさせる訓練エピソードから名付けられた。
Parrot’s Lawでは、好きな素材を使って、繰り返し発音練習する。
- 歌を使った練習(300回)
- 短い会話を使った練習(100回)
- 少し長い題材による練習(100回)
回数に注目。たくさん繰り返すことで脳に新しい音を聞き取る神経回路が形成されるという。本書ではそれぞれのステップについて詳しく解説している。
これほど発音をやる気にさせてくれる教材は珍しい
本書は、発音練習以外のページ数が多い。「なぜ聞き取れないのか?」を解説した1章。歌や映画など生の英語を使った”Parrot’s Law”の第6章。英文読書のすすめが第7章。
それらで半分のページを占める。さらに、発音と聞き取りに関するコラムも多い。
本書全編を通して言えるのは、発音練習をやる気にさせてくれること。
英語の勉強はしているけど、発音練習はやったことがない人は多いはず。そんな人には本書を強くすすめたい。本書なら、発音練習をやる気になるはずだ。