教材を選ぶときの基準
自分に合わない教材だったり上達に役立っていないと、学習が苦痛になって継続できない。逆に言えば、継続できる教材は自分に適しているといえる。そこで、継続できるかどうかを基準に何があるのか考えてみよう。
継続して学習するためには、その教材が学習のモチベーションを増進するものであってほしい。英語力向上に役立っている実感があり、加えて内容に興味もあるもの、ということになるだろう。以下の4つのポイントが参考になるのではないだろうか。
- 実力レベルに見合っているか。
- 学習の目標に即しているか。
- 内容に興味がもてるか。
- 学習法が自分に合っているか。
楽しい学習をしよう
学生時代には誰にでも嫌いな科目があったと思うが、その理由を考えてみると、「よくわからない」という感覚があると考えられる。その教科が嫌いになったのは、苦手になった後ではないだろうか。英語の場合でも、よくわからない学習をしていたら楽しいはずがない。そんな学習を続けていては、やがて嫌いになって学習が苦痛でしかなくなってしまうだろう。
一般に「楽しい学習」とは、自分の実力よりほんの少しだけ上のことを学習することだと言われている。簡単すぎず、難しすぎず、前よりも少しづつわかった実感が得られる学習だ。「わかること」は楽しいことなので、学習するたびに上達を実感できる学習は面白いはずだ。わからない勉強は絶対にしないという決意と、わかるレベルまで下がってでも勉強する勇気が、案外上達のコツかもしれない。
漠然とした願望はNG
英語を学ぼうと思ったきっかけは人それぞれ異なると思う。学校の英語の授業が好きだったからかも知れないし、仕事のキャリアアップを目指して英語を学ぶ人もいるだろう。 しかし、なんとなく「英語ができるようになりたい」と考えるようになった人も少なくないはず。その場合、漠然とした感覚で英語に向かい合うことになってしまう。
漠然とした感覚でもつ「英語がぺらぺらになりたい」といった願望は、たいていの人にとって現実離れしたレベルを想定している。そのため、学習をしていても自分の英語力の不備ばかりが目について、学習そのものが嫌になってしまうことがある。漠然とした願望は英語学習の楽しさを奪うことがあるので、その点はくれぐれも注意しよう。
やる気がでてくるイメージをリアリティに近づける
「英語ができるようになりたい」と思ったとき、どんなイメージを持っていただろうか。あるいは、英語が上達したときの自分の姿はどのようなものだろうか。
広い世界につながっているイメージだったり、日常から離れた自由のイメージだったり、将来に幅広い選択肢が用意される自律的なイメージだったり、仕事ができる人や魅力的な人のイメージなどが考えられる。
しかし、こういった漠然としたイメージのままでは、現実離れした英語力を自分に求めることになってしまう。そこで、そのイメージを壊さない範囲でより現実的なイメージを描いて見よう。
- 幅広い世界 → ネットで海外情報を検索
- 日常から離れた自由 → 海外旅行で現地の人と会話
- 将来の幅広い選択肢 → 転職で考慮される程度
- 魅力的な人 → 物怖じせずに外国人旅行者に道案内
こうなると「頑張れば手が届く」というリアリティが出てくる。「あとほんの少しで可能」というレベルまでイメージを制限してしまうことが肝心。英語が苦手な人の場合は、イメージする英語力をもっと下げてみよう。
人間は「あとほんの少しで可能」という状態のときにもっとも欲求が高まるという。より現実的なイメージを描ける人ほど、楽しく一生懸命に英語学習ができるし、学習の方向性もわかってくる。「達成すると信じられるイメージ」だけがモチベーションの源泉となることを忘れないようにしよう。
もちろん、ずっと同じイメージをもっている必要はない。英語の上達にともなって、目標とするイメージは成長していくことだろう。
目標を分解しよう
目標に到達するためには、長いプロセスが必要となる。最終目標ばかりに目を奪われるとプロセスが見えてこない。たとえば、仕事のキャリアアップを目指して英語を学ぶ場合、「キャリアアップ」のために英語の何を学習すればいいのか不明瞭になる。そこで、目標をどんどん分解してみよう。
(例)
・仕事のキャリアアップに役立てたい。(英語力が評価される職につきたい)
↓
・海外の取引先との交渉を担いたい。
↓
・英文資料を読んだり、ビジネス交渉を英語でやりたい。
↓
・最初は、簡単な電話の受け答えができる英語力から身につきたい。
このように具体的に目標をイメージしてみると、リアリティのある直近の目標が見えてくる。学習計画が立てやすくなるし、教材の種類を絞ることができる。また、上達の実感が得やすくなるので、英語学習が楽しくなる。
教材を買う前に長期的な学習計画を立てよう
近視眼的な教材選択をすると失敗することが多い。個々の学習が大きな目標としっかり関わり合うように、長い期間を視野にいれた学習計画を立ててみよう。できるだけ早く英語力をつけたいという気持ちは誰でも一緒だが、ひとつの言語を学ぶのは簡単なことではない。少なくとも3年間は腰を据えて学習したい。3ヶ月や半年で身につくことなど、たかが知れているのだ。
半年で英語力を一気にアップさせようと焦ってしまうと、自分の実力をこえた教材を選びがちで学習が苦痛に満ちたものになるし、予定ほどには自分の英語力が上がらないことに焦って不安になったり、あるいは失望して学習が嫌になることがある。数年先の学習計画を立てるくらいの心のゆとりを持っておけば、そのような事態を防ぐことができるだろう。
学習「法」がポイント
学習法に興味をもつ人ほど上達が早い傾向がある。闇雲に学習を進めてしまう前に、場合によって数ヶ月かけてでも徹底的に学習法について調べてみよう。特に、熟練者に指導してもらうことのできない独学においては、学習法についての習熟度がほとんど学習そのものの成否を決めてしまう。
たとえば、語彙力をつける学習を考えているとしよう。その場合、単語帳などの英単語教材を適当に買ってしまう前に、まず「語彙力はどのようにしてつけたらいいのか」について調べみる必要がある。何を学習するかという教材の選択は、いかに学習するかを知っていなければできないはずなのだ。
学習法に詳しくなることによって自分に適した学習法を選択できたり学習効率が上がるのはもちろんだが、その他にも長期的な上達イメージが描けるためモチベーションが維持できたり、柔軟に学習方針を変更できるようになるというメリットがある。