CD付 プロ通訳強化メソッド活用 英語スラッシュ・リスニング トレーニング 著者:小倉慶郎 出版:ディーエイチシー 発行日:2014/10/10 |
ニュース英語を素材にして、スラッシュ・リスニングを行う。
通常音声の他に、スラッシュ毎にポーズ(音の空白)をとった音声を収録。ポーズでは日本語訳を声に出す。
本書のスラッシュ・リスニングは、同時通訳のサイト・トランスレーション練習のこと。
3つの学習ステップ
本書はニュース英語を素材にしているので、中級レベル以上が対象となる。
以下のステップで学習する。
- リスニング:語句を確認。
- スラッシュ・リスニング:スラッシュにポーズが入っていて、スラッシュ毎に声に出して日本語を訳す。
- シャドーイング:最初はオーバーラッピングからはじめて、徐々にシャドーイングに移行する。
ステップ2のスラッシュ・リスニングでは、意味上のカタマリ(チャンク)がスラッシュで区切られていて、ポーズ(空白)が入っている。
そのポーズ(空白)で、スラッシュで区切られた英文を日本語訳していく。声に出すところがポイント。
本書は、同時通訳の「サイト・トランスレーション」練習を「スラッシュ・リスニング」練習と定義している。
日本語訳を声に出す必要はあるのか?
中級レベル以上の人は、わざわざ「日本語訳を声に出す」ことに違和感を持つかも知れない。
同時通訳者になるわけでもないのに、サイト・トランスレーションをする必要はあるのだろうか。
仮に、サイト・トランスレーションだけでトレーニングが終わるとしたら、日英対訳して終わりになるので問題がある。
しかし、ステップ3でシャドーイングを行うわけだから、そのときに日本語訳を介在させずに英語だけでトレーニングする。
その前段階で行うトレーニングなので問題はない。
むしろ、日本語訳を声に出すことで、きっちり英語の語順で内容を把握するトレーニングとなる。
最後のシャドーイングで威力を確認
ステップ3のシャドーイングは、もちろんポーズ(空白)のない音声を使う。
英文もまとめて掲載されている。
ステップ2のスラッシュ・リスニング(=サイト・トランスレーション)をしっかりやっていれば、完全に前から理解する感覚が味わえる。
本来、中級から上級レベルになると日本語訳をすることがない。英語のまま理解したつもりになっている。
しかし、サイト・トランスレーションをやることで、いつもより明確に理解していることを実感する。曖昧な部分がまったくなくなるからだ。
ステップ3のシャドーイングは、日本語は介在しない。このステップで、英語のまま内容をイメージできるようになる。
中級レベル以上になったらサイト・トランスレーション
スラッシュ・リスニングおよびスラッシュ・リーディングは、英語を前から理解するためのもので、本来は初級~中級レベルを対象にしている。
しかし本書のサイト・トランスレーションは、本来はプロ通訳を養成するトレーニングで、上級レベルの人が実践するもの。
シャドーイングの効果を引き上げる効果があるので、中級以上になったら一度は試してほしいトレーニングだ。