ゼロからスタート英語で話すトレーニングBOOK 著者:安河内哲也, デイビッド セイン |
「ゼロからスタート」シリーズのスピーキング編。
ワンフレーズの会話から、スピーチへの橋渡しを行う。
自己紹介からショートスピーチまで90レッスンを収録。
レベルは中学英語。
スピーキング入門書の工夫
世の中に英会話教材は多いが、ほとんどワンフレーズ単位のやり取りとなる。
そのような会話教材ばかりやっていると、英語で話(スピーチ)ができない。
本書は「英語スピーキング入門書」なのだが、会話をスピーチにつなげる工夫がある。
たとえば、「読書」がテーマだとする。
「読書」をテーマにして、英語でスピーチをしてみよう。
本書は、まず、3つの質問を用意する。
「どんな時に読書するか」「どのくらいの時間読むか」「何を読むか」という質問。
それにたいして、自分で答えることで、英語スピーチができあがる。
回答例では「電車の中で読む」「1日にだいたい1時間」「新聞」と答える。
「ワンランクアップ回答例」として、この3つの回答例をつなげることで、3フレーズ程度の英語スピーチとなる。
本書はこんな問題をたくさん行う。
いざ、「読書について英語でスピーチしてください」と言われても戸惑うはずだ。
しかし、こうやって3つの質問をヒントにすれば、案外、英語でスピーチできることがわかる。
スピーチ入門書として、なかなか良い工夫ではないだろうか?
写真や資料の章が秀逸
本書のレッスンには、上記のような身近なテーマだけではなく、「写真や資料を英語で表現してみよう!」の章がある。
写真について、英語でスピーチをしてみよう。
学習法は上記とまったく同じ。
3つの質問があり、それに答えることで3フレーズ程度のスピーチができる。
写真や資料について、英語で説明する練習になる。
英語に自信のある人は、質問を見ないで英語を考えてみてから、回答例と比べてみてもいい。
英語で何かを説明したくなってくる
本書を一通り読んで気づくのは、中学英語でも立派に「話」ができるということ。
ワンフレーズの英会話ならともかく、何かを説明する英語となれば、もっと高度なものだと思い込みがちだ。
しかし、ワンフレーズの英会話ができれば、そのままスピーチにつながることがわかる。
本書で一通り学習してみれば、英語で話しをする自信が出てくるはずだ。
どんなテーマでも、どんな写真でも、なんとか英語で話せるような気がしてくる。
自分で英語を考えるリハーサルにつなげたい
本書の注意点としては、回答例を「正解」だと考えないこと。
間違いを怖れずに、自分なりの英語を考えてみることが肝心だ。
そのためには、文字通りゼロから英語を学ぶ人にはハードルが高い。中学英語もあやふやなレベルだと、回答例を正解だと思って練習する英語になってしまう。
むしろ、中学英語はなんとかこなせるレベルの人に向いている。