英語で説明する全技術 著者:齋藤浩史 |
説得力のある英語は、「大中小の法則」がある。
抽象度の高い概要から、抽象度の低い細部へと説明する。
本書では、「2次元の図やグラフ」「3次元の図や写真」「空間と写真」「時の経過」について、大中小の法則を使って、英語で説明する技術を学ぶ。
ビジネス英語を学ぶ人にお勧めしたい良書。
英語力よりも効いてくる説明の技術
著者がゴールドマン・サックスにいた頃、英語がそれほど上手くない上司がいた。
しかし、その上司が使うたどたどしい英語は説得力があり、ネイティブでさえも惹きつけていた。
自分より英語が下手なはずの上司が、なぜこれほど優れた英語を話すのか。
著者はその謎を解明するために、上司の英語をボイスレコーダーに録音して分析した。
すると、上司は何を話すときでも1つのルールに従って話していることを発見した。
それが大中小の法則である。
徐々に抽象度を下げていく
大中小の法則とは、大雑把なことを最初に説明し、徐々に細部を説明する法則のこと。
たとえば、図を説明するときには、「そもそも何の図なのか」を説明する。次に、図の大まかな分類を説明する。最後に、細かい数字を説明する。
このように抽象度の高いことから、徐々に抽象度の低いことへと落としていく。
この法則こそ、たどたどしい英語でも驚くほど伝わる技術なのだ。
大中小は、当たり前だと思っただろうか? 簡単だと思っただろうか?
本書を読めば、いざ英語で説明しようと思ったら、けっして簡単ではないと実感するはずだ。
豊富な例題で大中小の法則を学ぶ
本書には「2次元の図やグラフ」「3次元の図や写真」「空間と写真」「時の経過」について、豊富な例題がある。
たとえば、「2次元の図やグラフ」の章に、マトリックス図の例題がある。
この図を使って、どのように英語で説明するのかを考える。
大中小の法則に従って、大項目、中項目、小項目の流れで英語にしていく。
まず、この図は何のマトリックスであるかを説明する。(タスク優先度に合わせたアクションについてのマトリックスであることを説明)
次に、どのようにカテゴリーが分けられているかを説明。
最後に、各組合せの取るべき行動を説明する。
こうやって実例を使って大中小の法則を学んでいく。
他にも、「写真について説明する」章では以下のような例題がある。
この写真について、英語で説明する。
大中小の法則でどのように説明できるだろうか。
まず、写真の全体像を説明する。(オフィスのワンシーン)
次に、コピー機の存在、3人の人物について描写する。
最後に、それぞれの人物がどのような動きをしているのか説明する。
このような例題を繰り返すことで、大中小の法則に従って、英語で説明する技術が身に付く。
「バイブル」と呼べる教材
「大中小の法則」が極めて重要であることに疑いはない。わかりやすい説明とは、そのようなもの。
本書では、この1つの法則を徹底してトレーニングすることになる。明快な主張をもった英語教材。
単に英語表現を並べたり、主張もなく例題を繰り返すような英語教材ではない。難解な学術用語を無意味に並べた教材でもない。
本書は、シンプルにして重要な1つの法則を徹底して応用させる。
本書で学習しておけば、現状の英語力のままでも相手に伝わるプレゼンが可能だ。
ビジネス英語のプレゼンテーション教材として、真っ先にお勧めしたいバイブルと呼べき1冊。