ずるいえいご 著者:青木 ゆか, ほしの ゆみ |
英語で話すためには、正しい英語表現を蓄積するのではなく、「今ある英語力をいかに使いこなすか」が大切。
伝えたいことを柔軟に表現する「言い換えトレーニング」を行う。
英国留学で苦労した著者の経験から、英会話のコツをまとめている。
「言い換えトレーニング」とは何か
どうすれば英会話ができるようになるだろうか。
実は、誰でも英会話ができる。今ある英語力を使って、コミュニケーションを取ればいいだけなのだ。
この地点に立たないと、どれだけ英語の勉強をしても、英語が口から出てこない。
英語で言いたいことがあったら、自分の英語力の範囲内で言い換えて伝えればいい。
本書は、そのための「言い換えトレーニング」を紹介している。
たとえば、「(緊張して)めちゃめちゃあがっている」と言いたいとき。どんな英語にすればいいだろうか。
I want to go home. 家に帰りたいよー。
これでいい。こんな簡単な表現でも、あがっていることが相手に伝わる。
これが言い換えトレーニングとなる。
「あがる」といいたいときに、「(「あがる」という英語表現はなんだっけな・・・)」と押し黙ってしまったら、英会話にならない。
「正しい英語を覚えて、それを使う」という発想で学習していると、何年たっても英会話はできない。
英会話の勉強とは、何よりもまず言い換える練習のことなのだ。
英会話ができる=知っている英語に言い換えることができる、ということになる。
言い換えのコツは捨てること
言い換えるためには、どうすればいいだろうか?
本書は、言い換え原則「4大柱」にまとめている。
- 8割捨てる:本質的な部分だけをシンプルに伝える
- 大人語を捨てる:子ども話すような英語にする
- 直訳を捨てる:単語がわからなければイメージを伝える
- 抽象語を捨てる:具体的に伝える
この4つはそのまま「英会話のコツ」といえるほど重要なことばかり。
この4大柱を意識しながら言い換えトレーニングを繰り返せば、英語を話す自信が出てくるはずだ。
ちなみに、4大柱は「捨てる」ものを列挙しているが、本書のタイトルは「すてるえいご」にするはずだったという。
インパクトのあるタイトルにするために、出版社の意向で「ずるいえいご」となった。
言い換えは英会話の王道
言い換えが重要であることは、多くの英語教材が主張している。
当サイトでも以下のような教材レビューしたが、すべて言い換えの重要性に触れている。
これからも、「言い換え」教材をレビューすることになるだろう。英会話が身に付く教材は「言い換え」に触れていることが多い。
繰り返すが、知識を蓄積するタイプの学習をどれだけやっても、英会話ができるようにはならない。
本書「ずるいえいご」は、言い換えをテーマにした中でも一押しの教材となっている。
知ってる英語を駆使するのは楽しい
本書「すてるえいご」は、イラストやマンガを多用していて、言い換えトレーニングの楽しさが伝わってくる。
知っている英語を駆使して、あれこれ言い換えながらコミュニケーションを取るのは、実に楽しい。
本来、外国語の学習は、こういった楽しい時間のはずだ。
次から次へと暗記を求められる学習をやっていると、英語の楽しさが失われる。