英語はもっと科学的に学習しよう

過去の著書より科学的でなくなった気がする

著者は言語学の研究者で、第二言語の習得を専門とする。以前レビューした「外国語学習に成功する人、しない人」はなかなかの良書だった。

本書は「もっと科学的に」というタイトルなので、最先端の研究成果が書かれているのかと期待してしまった。しかし、残念ながら、特に科学的というほどの硬派な内容ではなく、ごく軽めの学習ガイドになっている。

(タイトルで裏切られた感があるために、アマゾンのレビューも辛口の人が多い。実際は、良書なのだが。)

本書の内容はいわゆる「私はこうやって英語が上達しました」という学習ガイド。著者の高校時代からはじまって、研究者になるまでの人生経験が書かれている。

いちおう第二言語習得(SLA)の知見を引用している部分もあるが、分量が少なすぎる。二言三言でさらっと触れるだけ。もっとSLAの情報が欲しいという欲求不満がつのる。

これが英語の科学的な学習法

学習法のポイントを簡単にまとめると以下のようになるだろうか。

  • 英語習得のカギは、理解できるインプット。6割以上は理解できるレベルの教材を使ってリスニングやリーディングすることが大切。
  • 一般の学習者はインプットが少なすぎる。理解できる英語を大量にインプットしよう。
  • インプットのときは細かい文法よりも内容理解を重視。アウトプットのときに文法学習をやると理解が進む。
  • 自分の言いたいことを英語にするアウトプットも大切。少しでもアウトプットをすることでインプットの処理能力があがる
  • つまり、英語学習のポイントは、大量のインプットと少量のアウトプット

英語が苦手な人は、インプットもアウトプットも足りないという。科学的な学習法とは、たくさん勉強すること。これが結論といってもいい。

ブレークスルーのきっかけは英語サークル

本書の中でもっとも印象に残ったのは、著者の大学時代の経験が書かれていた部分。

受験時代、著者は英語の猛勉強をして、模試ランキングに名前が載るほどだった。そして上智大学の英語科に入学する。英語ができるつもりだったが、ネイティブ講師の英語がまったくわからないし、自分で英語も話せない。受験英語の限界を知ってショックを受ける。

ここから、真の英語力をつけていくストーリーがはじまる。すぐ先に英語力をつけるためのブレークスルーが書かれていた。

それは大学の「英語サークル」にはいったこと。英語の猛者ともいえる先輩たちといっしょになって、英語で話す練習をしたり、英語のプレゼンやディスカッションをした。

これを「コミュニティ・オブ・プラクティス」(実践集団)という。専門家と初心者がいっしょに活動する集団のこと。

身近にロールモデルとなる達人がいて、その人たちと一緒に知識や技能を学ぶ。心理的な影響も含めて、学習効果は絶大なものがある。

著者はそのサークルで英語の達人へと脱皮して、名門高校の英語教師、海外の大学院へと歩んでいくことになる。

英語習得に限らず、いかなるスキルの習得でも通用しそうな話で、実に示唆に富んでいる。

モチベーションを維持するコツ」のページでも書いたが、独学だけで英語を学習しようとせず、どこかに参加することが大切なのだろう。

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