赤ちゃん英語の薦め
本書は「99.9%の日本人にとって、英語は必要ない」という事実をこれでもかというくらい多くのページを費やして確認する。生活で必要としないだけでなく、仕事においてもごく限られた職種以外はまず必要とされていない、という。
さらに、インターネット時代は英語が必須だとか、英語は世界共通語だとか、そういった英語産業の宣伝文句をことごとく論破していく。(論破というより、少し冷静になって考えてみようということのようだが)
なぜここまで「英語の不必要性」を確認するかといえば、「英語ができないといけない」という強迫観念が日本人には強く、(本書ではこれを「英語病」と呼んでいる)、これが英語の習得を妨げているからだ。「それでも英語がやりたい人は・・」ということで、英語学習法の提案へとつながる。それは、ずばり「赤ちゃん英語」の薦めである。
「赤ちゃん英語」とは、自分の使える言葉を使って意思疎通を図ること、と理解してよさそうだ。たとえば、「私の父はゴルフに熱中していて毎日のようにゴルフを練習している」と言いたいときに、そのまま英語に当てはめようとするから「熱中?」「毎日のように?」「練習?」と悩んでしまって言葉につまってしまう。そこで、「私の父はゴルフが好きだ」という簡単な文に変換するのである。自分が使うことのできる英語になるまで伝えたいことを分解して、その範囲でコミュニケーションしていく。
このことは一見当たり前のことのように見えて、実は重要なメソッドである。英語の言い換え(パラフレーズ)のことだ。このトレーニングを積んでないと、すぐに無口になってしまって、いつまでも会話ができない。
ここまでくると明らかだが、英語が話せるようになるためには、「自由英作文」の形式でコミュニケーションのトレーニングが必要なのである。正解が一つあってそれを答えないと×だ、というような試験形式の英語学習では、結局のところ言語の習得は不可能なのだ。ということで、本書は義務教育から英語科目を外すことを提案している。