村上式シンプル英語勉強法 著者:村上憲郎 出版:ダイヤモンド社 発行日:2008/8/1 |
著者の肩書は、(当時)Google本社副社長+Google日本法人社長。
英語を飲んでかかる強気の学習ガイド。いらない部分は大胆に捨てながらも、量を重視したハードな学習を行う。
著者の経験にもとづいた有益なアドバイスも多数。
外資系エグゼクティブの英語勉強法
世界でもっとも華々しいIT企業のエグゼクティブは、英語の勉強法についてどんなアドバイスをしているのか。期待が高まる。
勉強の方向性は、量を重視したハードトレーニング方式。100万語を読む。1万語の単語を眺める。1000時間聴くなど。
著者も若いうちは英語ができなかったが、31歳から勉強を開始し、今では帰国子女だと思われるほど英語をものにしている。たくさん読んで、たくさんの英語を聞いたというのが、基本的な勉強法だったという。
本書の中で特に印象に残ったのは以下の2つ。
1.日本人に英作文は無理。英借文しかない
「英借文」というのは「英文を借りて作文する」といったニュアンスで、元になる英文を改変して、自分の英語として発信することを言う。
著者は「日本人に英作文は無理」だと言い切っている。正確な英文を書こうとしたら、どんなに勉強してもきりがない。英作文は無理と割り切って、コピー元になる英語(英借文用のテンプレート)の収集に力を入れる。そして、そのアレンジに精を出す。
たしかに、英語を書く場面というのは、ビジネスにしてもプライベートにしても定型文が多い。PCにテンプレートをストックしておいて、必要になったらアレンジすればいいのだ。この割り切りが素晴らしいし、ストック+アレンジというプロセスでも英語の勉強になる。
2.自分に関する100の話題を丸暗記する
家族、趣味、スポーツなど100個の話題について、前もって準備しておく。
英文でストーリーを書いて、練習して丸暗記しておくのだ。こうすれば英語のコミュニケーションで話題を提供できる。
英語で最低限の意思疎通ができる人は多い。しかし、英語でストーリーを語ることのできる日本人はどれだけいるだろうか。できない理由は何か。用意をしていないからだ。前もって英文にして暗記しておけば、実際のコミュニケーションで中身のある会話ができる。
また、同じ話題を様々な場所で話すことになるから、相手の反応を見たり、質問を受けることができる。するとそのテーマが洗練されていく。次はもっと洗練された会話ができるようになるという。実に納得できるノウハウだ。
勉強法の真髄は、アグレッシブな姿勢
上記のように有益なアドバイスも多かったが、もっとも学ぶべきは行間の部分だと感じる。本書を一通り読んで感じるのは、文面からビシビシ伝わってくる著者のアグレッシブな姿勢である。
「英語の出だしは12種類しかない」とか「知らない形容詞はbadかgoodに変換」とか「英会話は5パターンしかない」とか「イディオムは捨てる」といったように、英語を飲んでかかるような強気な姿勢に満ち溢れている。
この強気な姿勢があるからこそ、100万語を読んで1万語を身につけるというハードな勉強量をものともしないのだろう。
何かをものにしたいなら、このくらい強気でいかないと手に入らない。本書の行間からにじみ出る「強気の姿勢」こそ、勉強法の真髄なのかも知れない。