英語ネイティブの思考法を解説した教材のひとつ。独特の発想で英語文法を解説している点が興味深い。本書は「英語はワンパターンな構造をもっている」と主張していて、それは「基本パターン(主語動詞)+伝えたいこと」だという。
たとえば、I get it clearly. 「よくわかりました」 という文では、I get it の部分が基本パターンで、それに続くclearyの部分が「伝えたいこと」だという。この発想を基本にして、不定詞、動名詞など、すべての文を単純に説明していく。
「伝えたいこと」にあたる部分は従来の文法説明だと単なる付属物のように感じられる部分だが、たしかにここに視点が移らないことにはコミュニケーションに差し支えるのである。これは多くの英語に触れることで自然と身に付くはずのことでもあるが、中高の英語授業ではすっぽり見落としている部分ではないだろうか。
ところで、「従来の5文型は必要ない」というような安易なキャッチコピーが本書でなされている点はいただけない。こういう煽り文があったとして、英語を知らない初心者を読者対象にしているわけではなく、あくまで5文型の学習を経ている人が本書を補完的に用いることで効果が上がるようになっている。この点には注意したい。
ともかく、本書のように自分の主張をもっている教材は好感がもてる。本屋に並んでいる英語教材の多くは、何の主張もなくて面白みのないものが多すぎるのである。本書の大げさな語り口に批判も多いが、一つの視点として一読の価値がある。