英語はほんとに単純だ! 著者:西巻尚樹 出版:あさ出版 発行日:2003/6/6 |
英語ネイティブの思考法を解説した教材のひとつ。独特の発想で英語文法を解説している。
本書は「英語はワンパターンな構造をもっている」と主張していて、それは「基本パターン(主語+動詞+いろいろな言葉)+伝えたいこと」だという。
最後に伝えたい部分がくる
たとえば、I get it clearly. 「よくわかりました」 という文では、I get it の部分が基本パターンで、それに続くclearyの部分が「伝えたいこと」だという。この発想を基本にして、不定詞、動名詞など、すべての文を単純に説明していく。
「伝えたいこと」にあたる部分は従来の文法説明だと単なる付属物のように感じられる部分だが、たしかにここに視点が移らないことにはコミュニケーションに差し支える。
別の例で見てみよう。
「父は私に模型飛行機をつくってれた」という英語。
1:My father made me a model airplane.
2:My father made a model airplane for me.
第4文型の1番、第3文型の2番、ともに表面的には同じことを伝えている。学校の授業では「同じ意味」と解説しそうだ。
しかし、現実の英会話では、最後に伝えたいメッセージがくる。伝えたいものによって文型を選んでいたのだ。
これは英会話を多くこなすと誰でも経験すること。基本パターンの部分は一気に発声して、最後の部分をやや明確に発声する。最後の部分に伝えたいことをもってくる。
しかし、本書を読むまで、意外にもそのことに注目したことがなかった。会話の流れや言葉の強調で判断するものだと思っていたが、本書を読んでみるとたしかに最後にこそ言いたいメッセージが来る。
言われてみれば「なるほど」
本書はそのような感じで、英語の作り方について、さまざまな解説を行う。
どれも、言われてみれば「なるほど」と納得するものばかりだ。
まえがきには、本書の内容は著者が勝手に考えたものではなく、英語圏で育ったバイリンガルの日本人たちの協力によって導き出されたという。
傾聴に値する1冊ではないだろうか。
ただし、英語を知らない初心者が本書を読むよりも、あくまで5文型の学習を経ている人が本書を補完的に用いることで効果が上がる気がする。
興味があったら是非読んでみてほしい。