英語ジョーク快読のススメ 著者:中野 清治 出版:開拓社 発行日:2009/06 |
英語のジョークをテーマにした読み物。
数多くのジョークを取り上げながら、「どこがジョークになっているか」について快読(解読)していく。
ウィットに富んだ会話のやりとり
英語上達のためには、日ごろから多くの英語に触れておく必要がある。素材の代表格には英字新聞・海外サイト・洋書の3つがあるが、もっと手軽に触れるなら「ジョーク」と「名言」がお勧め。どちらも短い文章なので負担が少ないし、思わず暗記してしまう面白さがある。
ジョークというと200語程度の小話を思い浮かべる人がいるかも知れないが、本書で取り上げているのは会話の中で使うちょっとしたユーモア。
相手の一言にたいして、ウィットに富んだ切り返しをする。たとえば、以下のようなジョークがあった。
Will you stop drinking for me? 「私のために飲酒するのをやめてくれない?」
Who said I was drinking for you? 「お前のために飲んでるわけじゃないよ」
「私のためにやめる」ではなく「私のために飲酒する」と受け取って切り返すジョーク。「私のために」の修飾関係は文脈に依存するためトボケルことが可能となる。
日常会話のジョークとは、こういったものだろう。テレビ芸人のように長々と面白い話をすることは滅多にないし、難しい。英語となればなおさらだ。
本書がとりあげるジョークこそ、現実的なジョークである。
気の利いた会話ができそうな気がする
本書の特徴は、なんといっても見事なまでにジョークが分類されていること。
ジョークを成立させる「英文法」「両義表現」から、ジョークの定番「人間模様」「男と女」「教師と生徒」といったテーマ、「考えの操作」「ことばの操作」といった仕掛けまで、あらゆる角度からジョークに切りこんでいる。
一通り読むと英語ジョークのパターンを網羅した気になって、妙に自信が出てくる。実際、どこかで聞いたようなジョークが多い。会話に出てくるジョークのパターンはきまっているのだ。
あえて解説を削って読者に委ねる
本書のもう1つの特徴は、洗練された読み物になっていること。
著者はジョークをくどくど説明する「野暮ったさ」を避けたかったようで、とことん言葉を削った解説にしている。
読者がジョークを解読する余地を残しているので、読み応えのある内容になっている。