関谷英里子のビジネスに効く! ポジティブ英語

関谷英里子のビジネスに効く! ポジティブ英語

著者:関谷 英里子
出版:NHK出版
発行日:2012/3/20

ビジネスシーンにふさわしい英語表現をガイド。

著者の関谷英里子さんは、NHKラジオ英語「入門ビジネス英語」の元講師。

本書は、著者が特別講師を務めたNHK「実践!英語でしゃべらナイト」の講座を基にしている。

ビジネス英語の注意点が上手にまとまっている

本書は、「第一印象」「会議で発言」「プレゼンのコツ」「交渉」「言いにくいことを伝えるコツ」「会議を仕切る」「メールを活用」といった7つの章からなる。

それぞれのビジネスシーンで、もっとこういう英語を使った方が上手くいきますよ、といったアドバイスになっている。

たとえば、第1章では、「褒められても謙遜しないほうがいい」という項目がある。

日本人同士の会話では、褒められたときに「いえいえ、とんでもない」と否定するのが基本的な返答になる。

つい、英語でも否定してしまいがちだ。

Oh, no. Not at all! 「いえいえ、どんでもない」

しかし、英語でそういった謙遜をすると、「逆に失礼になる」場合がある。

褒められたときに、謙遜したいのであれば、別の表現を使う。

Oh, I hope what you heard was goo. 「いやー、お聞きになっていることが、いいことだといいのですが」

といった表現。あるいは、

I have a great team.「チームがいいんです」

こういった表現もある。

外国人は謙遜しないわけではない。「いやー、チームのおかげです」といった表現はよく見かける。

重要なのは、日本語のように「いえいえ、とんでもない」と否定しないこと。

本書はこういった有益なアドバイスが多数ある。

知らないでは済まされない

もう少し本書の内容を紹介したい。

ビジネスシーンで英語を使うなら、知らないでは済まされない内容も多かった。

たとえば、5章「言いにくいことを伝えるコツ」の中で、「相手の非を伝えるときは私を主語に」という内容。

何かトラブルがあったとしよう。

Why did this happen? 「何でこんなことが起きたわけ?」

Tell me why this happened. 「なぜこんなことが起きたのか教えなさい」

こういった表現を使いがちだ。単純に理由を聞いているつもりでも、相手を問い詰めて、責め立てるように聞こえる。

だからといって Please を加えると、命令口調のまま懇願するようなニュアンスになるのでダメ。

そこで・・・

I would like to know why this happened. 「なぜこんなことが起きたのか知りたい」

このように I を主語にすることで、冷静に伝えることができる

本書は、こういった知らないでは済まされないアドバイスが山ほどある。ビジネスシーンで英語を使うなら、必読の内容ばかりだ。

類書はどれも一読の価値あり

本書のようにビジネス英語の注意点をまとめた教材は多い。

当サイトでレビューした「英語の品格」は必読の内容。他にも「日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術」などがある。

その中でも本書「関谷英里子のビジネスに効く! ポジティブ英語」は、おすすめの一冊。

解説は上手だし、英語表現とのバランスもいい。イラストも豊富で、ページをめくったときに視覚的に読みやすい。重要なアドバイスがまとめられている。

本書はビジネスパーソンにお勧めの名著だ。

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