英語のセンスを磨く

英文学者の精読指南

著者の行方昭夫氏は、サマセット・モームの翻訳で知られる英文学者。英文読解の教材も数多く執筆していて、英語学習者から人気がある。

タイトルから内容がわかりずらいが、本書「英語のセンスを磨く」も英文読解の教材となっている。英語を深く読むための精読ガイドといったところだろうか。

収録されている英文は200語程度の分量で、大人が読んでも興味が持てて、しかも、ある程度難しいレベル。

著者は英文の選択にかなりの神経を使ったようで、たしかに張り合いのある良質な英文が揃っている。ジャンルは、新聞報道から、エッセイ、評論など幅広い。

コンテクストをつかむポイントが浮き上がる

精読とは何だろうか。英文のコンテクストをつかむこと、つまり、英文の文脈や前後関係、執筆者の意図、登場人物の心理を可能な限り探ることに他ならない。本書では、輪読会のように精読のプロセスを解説していく。

一文一文を和訳するような無意味なことはしない。重要なポイントを7つ程度抜き出して項目にしている。このメリハリが素晴らしい。

たとえば、「youは誰を指すのか」「at all」はどこにかかる?」といった指示語や係り受け。「communicateの本当の意味」「withの用法」「institutionをどう考えるか」といった語彙の理解。「論旨の展開」「まず状況をつかむ」「誰の見解か」といった内容の理解。

こういったポイントを各英文で7つ程度抜き出して深く考察していく。その英文のコンテクストをつかむために鍵となる部分が浮き上がってくる構成だ。

解説の文章は親しみやすい語り口調で、輪読会に参加しているかのような臨場感がいい。突っ込んだ話をしているのにさほど難しい印象がないのは、上質な解説がなされているからだろう。

中級以上になったら、本書のような精読系のリーディング教材を試してほしい。語学に特有のマンネリ感が一気に払拭されることだろう。

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