続・アメリカの中学教科書で英語を学ぶ―ジュニア・ハイのテキストから英語が見えてくる 著者:林 功 出版: ベレ出版 発行日:2004/12 |
アメリカの中学校(ジュニア・ハイスクール)で使われている教科書から英文を抜き出した教材。CD音声も付属。
本書は2作目となる。前作では理科のページ数がやたら多かったが、本書では、歴史、経済、政治といった文系テーマが主体となっている。
読みやすく簡潔な表現
学校の教科書は凝った表現がほとんど使われず、簡潔な記述がされている。英語学習の素材としても使いやすい。
上の画像は、経済学のページ。「Scarcity and Choice 希少性と選択」の項目。
経済学の重要な概念がこれ以上ないほど簡潔に書かれている。
簡潔な記述という点では時事ニュース素材も同様だが、ニュース英語は単発の出来事を伝える内容ばかりだ。
本書のような教科書は系統だった知識を学べるので、教科書の方が面白いと感じる人も多いはず。
ところで、上記画像の内容は、日本では「公民」として教えられている内容。
米国では、政治学・経済学として、それぞれの科目で掲載されている。日米の教科書編集の違いがわかる点も興味深い。
目次で興味をもったら教科書を試そう
教科書だけあって、「知識」が書かれている。そのテーマに興味がある人なら、英文を読んだり、CD音声でリスニング学習するのが楽しいはず。
ということで、本書の目次を見てみよう。アマゾンでも、なか見!検索に対応している。
- 歴史
- シークレットサービス
- 独立の宣言
- 合衆国憲法を理解する
- 奴隷制度
- 現代
- 社会
- 火星人の来襲
- ウィンチェスターハウス(注:幽霊屋敷で知られた家)
- 政治学
- 立法府
- 連邦議会の権限
- 連邦議会の組織
- 連邦議会における法案の行方
- 大統領の役割
- 行政府の組織
- 大統領の権限
- 経済学
- 経済学とは何か
- 起業家になろう!
- お金
- 株式市場
- 環境学
- 生物と環境
- 光合成と光
- ブラック・スモーカー(注:海底の熱水噴出孔)
- 数学
- 数学って何だろう
いかがだろうか。米国の中学生が読んでいる教科書の中から、上記のテーマの英文を抜き出している。
「政治学」のページが多いので、米国行政の仕組みを知るのにもってこいだ。
中学教科書は、英語素材として眺めてみると雑学的な面白さがある。最初から最後までやらずに、興味のあるテーマだけを学習してもいい。
ただし、あくまで教科書だけあって、英文がぎっしりと書かれている。(日本語訳とか、語彙の予習、内容把握のクイズもある)
イラストを多用した愉快なストーリーでもなければ、軽い英会話のダイアログ教材でもない。
ページを開けば、まさに「教科書」そのものなので、そのつもりで購入しよう。
英語の自信のない人は小学校の教科書
それにしても、学校の教科書がこれほど優れた英語素材であるとは思わなかった。
「ニュース英語」と双璧をなすジャンルになってもおかしくない。
英語力のある人は、高校の教科書へとステップアップするのもいい。
初級レベルの人は、まずは小学校の教科書がいいかも知れない。
→ ドリル式 アメリカの小学校教科書で英語力をきたえる(Amazon.co.jp)
本書と同じコンセプトで、「アメリカの小学校教科書」を素材としている。
(関連)雑学・知識の英語素材ならWikipedia
雑学・知識を学べる英語素材として、Wikipediaもある。
Wikipediaでの英語学習法を解説している。興味のある英文を選んで、多読学習が可能。
ただし、Wikipediaは音声がついていないので、リスニング学習はできない。
本書「アメリカの中学教科書で英語を学ぶ」シリーズのような英語教材であれば、音声CDがついている。