販売元:アカデミー出版
価格:約4,500円×12
リンク:イングリッシュ・アドベンチャー
概要
髭もじゃのおじさん(オーソンウェルズ)の広告で有名なストーリー教材。ベストセラー作家シドニシェルダンの脚本と、有名俳優オーソンウェルズのナレーション。コースは、初級「家出のドリッピー」、初中級「コインの冒険」、中級「追跡」、上級「ゲームの達人」がある。
長所
ハリウッドスタッフの録音らしいが、効果音や声優の魅力は一級品。オーソンウェルズのナレーションも、低い重低音のため最初は聞き取り難いように感じるが、すぐに癖になってしまうほど魅力的な声。
ストーリーに興味がもてれば、楽しんで勉強できるはず。連続性のあるストーリーが毎月送られてくるというのは、次の展開が楽しみになって学習意欲を高めることになるだろう。ストーリーものが好きな人は一考の余地がある。
付属の文法解説には、英文のほぼ1文1文を対象に詳細な文法解説がついている。一通りの文法学習を終えた人向きになっているが、疑問点を瞬時に解決できるので利用価値が大きい。また、自分にとって苦手な文法事項を発見することもできる。
短所
ドリッピーは、あの有名作家が書いたにしては、少々面白みに欠ける。同じように小動物を擬人化しているストーリーでも、Graded ReadersのページでおすすめしているArnold Lobelの絵本では、はるかに簡単な英単語のみ使用して登場キャラクターに微妙な陰影を与えることに成功している。「家出のドリッピー」は毎回波瀾万丈だがキャラクターに厚みがない。シドニシェルダンとその奥さんとの合作となっているが、シドニシェルダンは名前を貸しただけで実際の作者は奥さんのような気がしてしまう。
「家出のドリッピー」は初級者向けということになっているが、関係詞などの文法事項が当たり前のように使われている。このレベル表示は、英語初級者ではなく、リスニング初級者と理解しておいた方がいい。文章が延々と続く連続ストーリー教材だけに挫折しやすい面があるので、英語レベルには特に注意を払いたい。
実用を目指した英語を学ぶ社会人にとっては、もっと実際の場面に即した実践的な内容の方がいいかもしれない。会員の通信欄には10代の学生が多かったこともあり、若い人向けの教材という印象がある。
一言
ストーリー内容に注意したい。こういう教材はストーリーに興味がもてるかどうかが重要。
家出のドリッピー
雨粒が家出をして、キリギリスに会ったり、蜂に会ったりという内容。大人には馴染みにくいストーリーなので注意。主人公がかわいらしいということで、中高生ならこの内容を楽しめる可能性が高い。
コインの冒険
一枚の25セント硬貨が次々と人手を巡り、それぞれの人々の人生模様が描かれる。このレベルのストーリー教材の中では結構面白かった。このコースから始めるのもいい。
追跡
金持ちの親が死んで、おじに命を狙われるようになる、という内容。ストーリー展開が冗長で、サスペンスの出来はいまいち。中級が対象の割には簡単すぎる点も気になる。もともと最初にできたのはこのストーリーで、特に「中級」のために作られたわけではないらしい。
ゲームの達人
ご存知ベストセラー小説。シドニシェルダンおきまりの復讐ものだが、それなりに面白い。