英語のお手本――そのままマネしたい「敬語」集 著者:マヤ・バーダマン , ジェームス・M・バーダマン (監修) 出版:朝日新聞出版 発行日:2015/7/7 |
職場でもプライベートでも使える「丁寧英語」のお手本。
英語タイトルは、Handbook for Wordplace Politeness 「職場の丁寧表現ハンドブック」。
重要表現とアドバイスがコンパクトにまとまっている。「敬語の調節方法」は必読。
敬語の調節方法が秀逸
一口に敬語・丁寧語といっても、さまざまな程度がある。
相手が上司なのか同僚なのかによって、丁寧語でも程度が変わって当然である。
相手や状況によって敬語を「調節」することがポイントになる。
単語の組み合わせ、接続語の使用、話す速度や声のトーンなど、様々な要素を組み合わせて調節し、丁寧度に応じて表現します。
では、英語ではどのように調節するのだろうか。
この点について5つの調節方法を解説している。
- クッション言葉で柔らかくする
- リクエスト形式にする
- つなぎ言葉で流れをつくる
- 単語を「格上げ」する
- 「波」で変化をつける
たとえば、1の「クッション言葉で柔らかくする」というのは、特定の表現を加えることで文章全体を柔らかくすること。
反論するときだったら、
I am not sure about that, but ~ (それについては何とも言えませんが)
Another way to look at it is ~ (別の見方をすれば)
That may be true, but ~ (それは正しいかも知れませんが)
Basically, I agree with you, but ~ (おおむね賛同しますが)
このような表現を加えると、反論するときでも文章全体が柔らかくなる。
上司やクライアントにモノ申すときは欠かせない配慮だ。
日本語で考えればごく当たり前のことだし、英語でも当然そうする必要がある。
さすがに今の時代、「英語に敬語はない」なんて考えている学習者はいないはず。ビジネスシーンで英語を使うなら、敬語は当然知っておかなくてはならない。
本書のチャプター0では、敬語の調節方法を5通り解説していて、ビジネスパーソンは必読の内容となっている。
最小限の文例にまとめる
本書の1章から9章までは、「メールの基本」「招待する・依頼する」「問い合わせる」「電話対応」といった様々なシーンを取り上げる。
基本的にはよくある文例集となっている。
たとえば、6章「確認する・催促する」の中にある「返事を催促する」の項目。
返品についてのメールを出したが返事をもらえていない・・・といった状況での「お手本」が書かれている。
ほとんどの項目がメールの文例となっている。Eメールは口語が使われるので、英会話における丁寧表現とほとんど違いはない。
見開き2ページで解説していて、右ページには応用フレーズやアドバイスとなる。
本書は「ハンドブック」というだけあって、最小限の文例でまとめている。
これだけコンパクトにまとまっていると通読しやすい。必要になってからページを開くのではなく、ひと通りの丁寧表現に目を通す気になる。
敬語の書籍教材を手元に置くメリット
今の時代、ネットで検索すれば英語の文例は山ほど出てくる。
しかし、ネットで羅列されている文例をみて、「本当にそれが適切な敬語になっているだろうか」と一抹の不安を覚えたことはないだろうか。
そこで、本書のような「お手本」を用意しておけば、敬語の相場観がわかる。
本書は文例の量としては少ないわけだが、手元にあれば信頼できる基準として使える。