もし海外出張まで、あと1カ月しかなかったら!? ビジネス英語4週間集中プログラム―――会話、リスニング、文法を一気に学ぶ! 著者:大島 さくら子 出版:ダイヤモンド社 発行日:2013/8/23 |
海外出張を前にしたビジネスパーソンを対象にして、1ヶ月で英語の準備をする学習プログラムを提供する。
短期間で効率的な英語学習を目指す。
著者は、海外赴任を予定している人を対象にした英語研修を担当してきた。
4週間集中プログラムの内容
本書は、各週で以下の学習をこなしていく。
- 文法:10の文法を学習。
- フレーズ:10の構文でライティング力を鍛える。
- ニュース英語:10テーマのニュースでリスニングとリーディングを鍛える。
- 会話表現:10のビジネスシーンで使えるスピーキング力をつける。
4週間で英語をゼロから鍛えるのは不可能なので、ポイントを絞って英語学習をする。
実際の中身を紹介したい。
Week 1:文法
「品詞と文型」からはじまって、「時制」「完了形」など、10項目も解説している。
多数の例文を使って、文法ポイントを一気におさらいする。
Week 2 :10のフレーズ
「依頼」「通知」「報告」「確認」など、目的ごとに構文を学ぶ。
キーフレーズを使った例文を学び、英作文のトレーニングをする。
ダイアログ(ミニ英会話)もあって、そのキーフレーズの利用シーンがわかるようになっている。
Week 3:リスニングとリーディング
「政治」「ビジネス」「環境」「医療・健康」など10のテーマでニュースを聞いて、リスニングとリーディングを行う。
ニュース英語の音声を聞いて、内容把握のクイズを行う。トランスクリプション(音声の書き起こし)もある。
「今日の課題」があって、ネットの英文記事を1本読む課題が出る。
Week 4:シーン別のスピーキング
「空港・機内」「ホテル」「会議」「トラブル対処」など、10のシーンで英語フレーズを学ぶ。
ビジネスシーン(+海外生活)の英語表現集といったところ。
最後の週に典型的なビジネス英語フレーズをマスターする。
短期集中プログラムの役割
上記のような「海外赴任を前にした4週間のビジネス英語短期集中プログラム」には、どんな役割があるのだろうか?
時間を無駄にしないで学習量を増やす
海外出張を前にして、どんな英語の準備をしたらいいのかわからずに途方に暮れている人もいるはずだ。
「どんな勉強をしようか?」と考えているうちに1ヶ月が過ぎてしまう。
本書のようなビジネス英語の集中プログラムがあることで、時間を無駄にせずに学習量を増やせるのは確かだ。
自分に合うかどうか?といった問題はあるにしても、とにかく平均的なプログラムが存在することで、時間を無駄にしないで済む。
類書が見当たらないので、本書が出版された意義は大きい。
英語を思い出す効果がある
本書のAmazonカスタマーレビューを見ると、学生時代に習った英語を思い出すことができた・・・といった内容があった。
短期集中プログラムの役割は、英語力をつけることよりも、過去に学んだ英語を思い出させることかも知れない。
そう考えると、文法、構文、リスニング・リーディング、英会話といった総合的な学習プログラムとなっていることにも納得がいく。
自発的な取捨選択をしよう
本来だったら、学習者の状況がわからないとプログラムの内容は決まらないはず。
- その人の英語力はどの程度か
- どんな任務で海外赴任するのか
- どんな英語が必要となるのか
それぞれ状況が異なるので、本書の内容が学習者にとってピンポイントにマッチするとは限らない。
たとえば、第1週の文法にしても、ある人にとっては簡単すぎるし、ある人にとっては短期間では身につかない知識となる。
自分自身で取捨選択して、必要な部分は他の教材で補うようにしたい。
もう少し実践的なトレーニングを加えたい
正直に言えば、「海外出張を前にした1ヶ月の英語学習プログラム」の内容が、文法・構文・ニュース英語のリスニング・・・と知って、意外感があった。
もっとアウトプットを重視した内容を想像していたからだ。
海外赴任の前にインプットはないだろう・・・というのが正直な感想だった。
しかし、実践的なトレーニングまで手が回らないのが、多くのビジネスパーソンの現実なのかも知れない。
著者は「海外赴任を予定する人への英語研修」を仕事にしている方なので、日本のビジネスパーソンの現状に精通している。
その人が執筆した1ヶ月の英語学習プログラムが本書なのであれば、それが現実なのかもしれない。
余裕がある人は、本書を「自習用のプログラム」として使って、オンライン英会話で実践的なトレーニングを積むことをお勧めしたい。