英語力が飛躍するレッスン 著者:今井 康人 出版:青灯社 発行日:2009/2/21 |
「音読・暗写・多読」の3つのトレーニングを軸に行う。
英文を丸暗記して、自分で書けるようにする「暗写」に特徴がある。
著者は北海道函館中部高校の教諭で、学生たちは「函中の奇跡」と呼ばれる劇的な成績上昇を達成した。
本書では、教室で実践されていた英語学習法を公開している。
暗写することで確実に英語力がつく
学習法の内容は、「音読・暗写・多読」の3つが軸となる。
「音読」と「多読」についてはご存知のとおりだが、「暗写」というのは珍しい。
暗写とは、学習した英文を暗記して、何も見ないでその英文を書けるようにするトレーニングのことを言う。
暗写は「暗記して、書写する」という意味である。書写と決定的に違うのは、何も見ないで書き上げるところにある。
その英文を書ける・・・というのは、その英文が自分のものになっていることを意味する。
音読するときに、暗写することを目標に音読することがポイントだという。
ぜひ取り入れたい学習メソッドだ。
学習量こそ学ぶべき
本書で学習法だけを真似ても、おそらく同じ成果を得られない。
重要なのは、学習量である。
音読の回数は、予習で3回、授業で5回、復習で10回、書写のときに10回、Read and Look Upで数回、合計30回前後こなす。
2回や3回声に出すだけの手軽な音読ではない。
暗写については、英文を見ないで1回書ければそれで終わりではない。「最低4回、理想は10回」書写するのだ。
ここまでやってこそ素材の英語が自分のものになる。
丸暗記という語学の王道
上記は「教科書を丸暗記」するほどのハードトレーニングだが、これは著者の実体験が元になっている。
家が貧しかったため塾に行けなかった著者は、父の友人から「英語教科書の丸暗記」を教えられたという。それを実践した結果、英語科目はずっとクラス最上位となった。
そこで著者は「語学学習の王道は本文丸暗記」であると悟るわけだが、これはシュリーマンの学習法にも通じる。
シュリーマンは自分のギリシャ語の間違いを指摘されても、「ホメロスの~の部分にこれと同じ文がある」と反論できるほど原文を丸暗記していたという。
丸暗記というのは語学の達人がたどり着く一つの結論なのかも知れない。一定の分量の英語を暗記するほど繰り返し学習する時期は、英語力の飛躍を図る上で有効だと思われる。
■更新
トレーニング別>ライティングの中に本書の「暗写」トレーニングを追加