CD付 トップダウン式 ニュース英語のリスニング 基礎編 著者:森田 勝之 出版:ディーエイチシー 発行日:2016/12/8 |
12分野48本の英語ニュースを収録。
音声は2段階のスピードで収録。
ニュースの主旨(メインアイディア)から聞き取るリスニング学習。
生音声じゃないところに特徴
本書の英語ニュースは、海外で実際に報道されたニュースをそのまま収録した「生ニュース」ではない。
ニュースの内容自体は本物の報道を基にしているが、教材用に再構成し、音声も教材用に吹き込んでいる。
再構成しているからこそ、次のようなメリットがある。
- 教材にふさわしい長さに統一できる。1ニュース6センテンス程度で完結している。
- 教材にふさわしいレベルに統一できる。「基礎編」なので易しめ。
- 音声を二段階で収録している。(後述)
- 4か国のナレーターを起用している。
生ニュースよりも「英語教材」としての使い勝手が良くなっている。
初級から中級レベルの方なら、生ニュースである必要はないと思うがいかがだろうか。
ちなみに、当教材の英語音声を吹き込んでいるのはプロのナレーターなので、読み上げた音声に問題はない。
音声スピードが2段階
英語の音声は、「ナチュラルハイ・ナチュラルロー」の二通で吹き込まれている。どちらもナチュラルであることを前提に2段階になっている。
- ナチュラルハイ:1分間に160語~180語:ニュース番組のアンカーパーソンの速さ。
- ナチュラルロー:1分間に150語~160語:VOAより少し速い程度。
当教材のスロースピードは、VOAのLearning Englishのような極端なスローではなく、あくまでナチュラル英語の範囲内。
通常のニュース番組はやや早口で報道されるので、日常会話レベルを想定するなら当教材のナチュラルローでも問題はない。
最初はナチュラルスローではじめて、慣れてきたらナチュラルハイで練習するのもいい。
トップダウン式とは何か?
トップダウン式とは、ニュースの「主題」から聞き取ること。
まず最初のセンテンスで、「何についてのニュースか?」というメインアイディアが示されてる。
そこを聞き取ってから、細部へと聞き取りをガイドする。
出だしの部分で、ニュースのメインアイディアをつかむ。次に、細部の聞き取りへと進む。
こういったガイドがないと、すべての英語センテンスを完全に聞き取ろうとする人が多いはずだ。
すべてを均一に聞き取ろうとする人は、持っている実力以下の内容把握しかできない。
「そもそも何についての英語なのか」というメインアイディアに意識を向ける必要がある。
当教材は、メインからディテールへという流れを意識する癖をつけられる。
内容把握のテストもある
すべてのニュースに内容把握のテストがついていて、これもいい。
理解しているつもりになっていないか確認できる。
英文と音声があって、それを一文ごとに音読やシャドーイングして・・という学習をしているとマンネリ化する。
英語のリスニング学習をするときには、「どのくらい理解できているか?」をテストするくらいの緊張感がほしい。
ニュース英語はボキャブラリー学習がセット
本書をざっとみると、とにかくボキャブラリーが目につく。
各ニュースのリスニングでまっさきに取り組むのは、ボキャブラリーとなる。
ニュースにはそれぞれの分野に特有の英単語が出てくる。
当教材は「基礎編」なので、比較的やさしいボキャブラリーとなるが、語彙力がないとニュース英語は歯が立たない。
「速読速聴 英単語」でも同じだが、ニュース英語を素材にすればボキャブラリーが重点項目になる。
ニュース英語を使うなら、英単語学習を兼ねていることを覚悟しよう。
ニュースで英語を学びたい人におすすめ
ニュース英語はネットであふれている。無料で際限なく手に入る。
しかし、英語学習のためにニュース英語を使うなら、本書のように「教材」を検討してみてはいかがだろうか。
上記で紹介したように、英語学習に役立つ工夫が随所にある。
当教材は「基礎編」なので日本語での解説部分が多く、英語もやさしい。中級レベル以下だけど、ニュース素材を使いたい人にお勧めしたい。