英語は5つの口で発音できる! 著者:中西 智子, 晴山 陽一 (編集) 出版:Jリサーチ出版 発行日:2014/8/25 |
「5つの口」を入り口にした発音教材。
発音上達のコツをまとめてある。
著者の中西氏は、米国の発音矯正学校で指導者免許を取得している。
1日1分のトレーニングですべてが変わる
本書の「はじめに」で、「1日1分でも十分です!」とある。
たしかに、1日1分でいいから発音練習を続けておけば、びっくりするほど自分の発音が変わってくる。
そうなると英語が面白くなるし、英語を使ってコミュニケーションを取りたくなる。
発音が下手な人は、今まで発音練習をまったくやっていないはずだ。
わずかな時間でもいいから、コツコツ練習しよう。
まずは口の形から入る
本書のいう「5つの口」というのは、「横の口」「突き出しの口」「脱力の口」「縦の口」「力の口」といった口の形のこと。
英語の音素を発音するときには、口の形と舌の位置を真似してみることが大切。
他の発音教材でも口の形を指導しているが、本教材は5つの口に整理している。
「横の口」によって、3つの母音の発音練習を行う。各音素の舌の位置などは、それぞれの項目で解説されている。
すべての音素をバラバラに学習するよりも、まずは5つの口の形から入ることで、整理されている印象があり、学習意欲もわいてくる。
発音上達のコツが盛り込まれている
母音・子音の音素を5つの口で練習したら、さらに発音力を上げる練習が続く。
2章「発音力を引き上げるテクニック」では、アクセント、リンキング(音の連結)、弱音と消える音、音の変化、といった内容。
上記画像は、「弱音と消える音」について。
単に音素の発音練習で終わるのではなく、英語の発音についてひと通りのポイントを練習する。
3章「ネイティブらしい発音のための4つのテクニック」では、文の中で強調するところ、イントネーション、リズム、息づき、といった内容。
英語の発音で学ぶべきことが綺麗に整理されている。
発音上達の目標は?
私たちにとって、英語の発音は難しい。完璧を目指したらきりがない。
まして世界中の人が個性的に英語を発音しているので、その意味でも日本語ネイティブの訛りがあっても問題はない。
しかし、そうはいっても、あまりにひどい発音は相手に通じない。リスニングの上達も阻害する。
完璧主義になってはいけないが、ある程度まで上達しておく必要はある。
このバランスの中で、発音の目標をどこにおけばいいだろうか?
本書の「はじめに」にはこんな言葉もあった。
「この音はこうでないといけない!」と、細かく細かくこだわるのではなく、「この範囲で(他の音ではなく)その音に聞こえる(他の音に聞こえない)音を出す」ことを目指しましょう。
まさに現実的な目標だと思う。
細かくこだわるのではなく、識別される音を出せること。要するに、完璧ではなくてもいいから、通じる発音を身に付けること。
本書は、日本語ネイティブの現実をわかっていて、的確なスタンスに基づいて書かれたことがわかる。