カラー改訂版 CD付 1分間英語で自分のことを話してみる 著者:浦島久, クライドダブンポート 出版:KADOKAWA 発行日:カラー改訂版 (2016/6/16) |
家族、趣味、仕事など、40のトピックで「自分のこと」を英語で話す。
各テーマで、10センテンス前後(話した時に1分程度)のスピーチ例が掲載されている。
英文のレベルは中学英語の範囲内。
スピーチの練習は、英会話のリハーサルとして効果的。
英会話のコツはスピーチにある
著者の経験談が興味深い。
大学に入ったときに、外国人講師による英会話の授業で、たった1語も口から英語が出てこないでショックを受ける。
そこから英語の猛練習をはじめるが、大きな分岐点になったのは英語のスピーチコンテストだった。
当時シャイだったからこそ、英語の猛特訓をしてスピーチの準備をする。
当日、3位入賞をはたして、大きな自信を得る。
そこからの変化が興味深い。
コンテストの後、次から次へと英語があふれてくるようになったという。
ここで著者は気づいた。
英語で話すというのは、新しい表現をそのたびに考えることではない。何度も練習したフレーズが無意識に口から出てくるだけだと。
「英語を話せる人は、以前から飽きるほど使っている表現が自然と口から出ている」だけだった。
それ以来、会話に使えそうなテーマをショートスピーチにしてまとめるようになったという。
著者のそんな経験が本書の原点になっている。
準備するから無意識のうちに英語が出てくる
著者の経験は、多くの人が納得するはずだ。
私たちは会話のたびに新しい表現を考え出しているわけではない。日本語の会話でさえ、同じような表現ばかり使っている。
英語で会話できるとしたら、飽きるほど使っている英語表現だけ。つまり、前もって準備した範囲内の英語だ。
これは、「村上式シンプル英語勉強法」でも取り上げられていた。「自分に関する100の話題を丸暗記する」ことで英語で話せるようになったという。
前もって英語のショートスピーチを用意して、普段から練習しておくことが、英語で話す秘訣なのだった。
自分に近い英文を参考にする
本書は40のトピックで2パターンの英語スピーチが用意されている。
17「旅行」だったら、以下の2パターン。
パターンAは「旅行は大好きです」という内容。
パターンBは、その逆で「旅行するより家でゆっくり過ごしたいです」という内容。
どのトピックもこのように相反する内容で2パターン用意されているので、自分に近い方を参考にできる。
英文が簡単すぎることはまったくない
本書を読んでまず感じることは、英文が簡単なこと。中学2年~3年の教科書レベルの英文となる。
“I”ではじまるセンテンスが多く、平易な構文だけしか使われていない。
これを見て、「もっとカッコいい英語を使いたい」と感じた人は、ちょっと冷静になってほしい。
見開きの右側の日本語を見てみよう。
本当にその内容を英語で発信できるだろうか。
中学英語のレベルであっても、発信できない人がほとんどなのだ。高望みせず、中学英語から一歩一歩進んでいくべきだと思う。
それと、今一度、スピーチの日本語を見てほしい。
普段の日本語の会話であっても、その程度の軽い内容がほとんどではないだろうか。
それ以上に複雑な言葉を使った会話はどれほどしているだろうか?
会話の内容とは、実は本書程度のものなのだ。
英会話のリハーサルとして使いたい
本書はスピーチ例を載せている教材なのだが、どう使ったらいいだろうか。
「本書の効果的な使い方」という内容が本書の中にあった。
- 一般的な学習に使う:リスニング、音読、シャドーイング
- 自分に合ったスピーチを作る:興味のあるトピックの英文を参考にしてスピーチを作る。それを音読して、実際に試す。
この2通りの使い方をガイドしていた。
確かに、中学英語レベルの通常の英語素材として使うこともできる。初級レベルの方は、そこから始めた方がいいかも知れない。
しかし、本書のコンセプトから考えても、「自分に合ったスピーチを作る」ことをお勧めしたい。
これをやってこそ、英会話につながる未来が開ける。
スピーチを作ったら、それを実際に試す方法はいくらでもある。オンライン英会話もその機会になるはずだ。