こんなこともできる英英辞典活用マニュアル

英英辞典を使った学習

こんなこともできる英英辞典活用マニュアル

今週注目する教材は、英英辞典の使い方を解説した書籍。使い方といっても通り一遍の使用法ではなく、英英辞典を使った学習法を解説している。「ちょっと引くため」ではなく「発信型英語の教材」として英英辞典を使おうというもの。

1990年に出版された本で、一部に時代遅れの記述もあるが、学習法としての重要性は変っていない。

英英辞典には4つの引き方があるという。1つめのα(アルファ)引きは、英単語の定義を調べる引き方。もっとも一般的な引き方だが、学習者にとって語義のイメージが掴み難く、フラストレーションが溜まるだけなのでおすすめできないという。

2つめβ(ベータ)引きは、知っている英単語の定義を自分で考えてから引く。何かを英語で説明するときの作文力を磨くことができる。3つめのγ(ガンマ)引きは語法とコロケーションを学習するために引く。4つめのσ(シグマ)引きは、和文英訳のために引く。英語の感覚と知識が雪だるま式に増える。

2~4の引き方によって、ライティングとスピーキングに役立つ発信型英語を磨くことができる。一見すると目新しい使用法ではないと感じられるが、具体例を使って手取り足取り解説している本書を読めば、「これなら英語力が付くに違いない!」と感心することになるはず。

著者は「英語 辞書力を鍛える」という書籍も出版している。こちらは、英英に限らず和英の使い方も解説していたり、140冊の辞書を検証するなど、「英英辞典活用マニュアル」と比べてコンセプトが広くなっている。本書は英英辞典に絞って非常に念入りに解説しているので、実用性の観点から注目した。

英語初級の方にとっては、もう少し英語力をつけてから英英辞典を使った方が効果的かもしれない。英英辞典をさほど苦痛なく使えるレベルというのは、ひとつの目標になると思われる。それだけに、中級程度の英語力はあるものの英英辞典を使いあぐねている方には、本書を強くおすすめしたい。


本書には続編がある。
ここまでできる 続・英英辞典活用マニュアル
前作の学習法をさらに詳細に解説している。また、「ループ思考」といった言葉を使って、辞書学習を理論化している。

以下の続編もレビューしています。 → 英語辞書力を鍛える

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