海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる 著者:三木 雄信 |
ソフトバンクの社長室長だった著者が、英語をマスターするための戦略を解説する。
「何をやらないか」を重視した学習ガイドは、多忙なビジネスパーソンにとって大きなヒントになるはず。
会議で蚊帳の外に置かれる悔しさ
著者はソフトバンクに入社してから、孫社長のもとで「ナスダックジャパン市場開設」「日本債権信用銀行の買収」「Yahoo!BB事業」といったプロジェクトを指揮した。
あるきっかけによって、英語を学ぶ決意をした。
米Yahoo!とのビジネスミーティングに孫社長と出席したが、英語がまったくわからない。
ずっと黙っていたので、交渉相手から「こいつは何なんだ?」と言われ、恥ずかしさで意識が遠のきかけた。
このままでは首になると、超多忙な仕事の中で、英語を身に付ける。1年後にはビジネスアテンドやプレゼンを英語でこなせるようになっていた。
英語ができなくて悔しい思いをしたビジネスパーソンは、こういったエピソードに勇気づけられるはず。
勉強しないことを決める
著者はどのようにして1年間で英語を身に付けたのだろうか。
「何をやらないか」が重要とある。
- 単語は勉強しない
- 文法は勉強しない
- 日常会話は後回し
- 発音はあきらめる
- 英語表現(言い回し)は、1つの内容で1つ。
たしかに、わずかな時間でビジネス英語を身に付けるとしたら、こういった割り切りが欠かせない。
ただし、誰にでも当てはまるわけではないので注意したい。
著者は東大卒であり、もともと英語力のベースはあったと推測される。受験英語に偏っていたので英会話こそできなったものの、単語や文法の知識はあったはずだ。
そのため、上記のように「やならい」ことが多くても、英語が身に付いたと思われる。
それぞれの自分の英語力に合わせて、「何をやらないか」を判断するようにしたい。
メリハリのきいたトレーニング法
本書では、具体的に著者の学習法が紹介されている。
- 教材は1つに絞る
- ただ聞くだけではなくシャドーイング
- 厳選した1冊を丸暗記して、言い回しをマスター
やはり英語を聞き取るためには、シャドーイングのような声に出すトレーニングが欠かせない。また、発信型英語を身に付けるためには、暗記も有効であることがわかる。
- スクールを活用してアウトプットする
- 電話によるスピーキングテスト「ヴァーサント」
- 英文メールはテンプレート活用
- 英文添削サービス「ジンジャー」
ネットのサービスやツールも紹介されている。アウトプットが重要であると強調されている。
その他にも、一夜漬け勉強法のアドバイスがあり、ビジネス英語の習得に迫られている人に役立つ内容が多い。
成果を出す人の判断力
本書を読むと、「成果を出すビジネスパーソンはどんな人か」が伝わってくる。
とにかく判断力が優れている。
たとえば、「機械翻訳ソフトを活用して、必要なところだけ精読する」といった内容もある。いったいどれだけのビジネスパーソンがそこまで割り切れるだろうか。
必要最低限の学習に集中して、実力を補完するために使えるものは何でも使う。これが成果を出す人の姿勢だった。
逆に、成果を出せない人は、「勉強していれば、そのうち英語ができるようになって、それから仕事で英語を使って・・・」なんて悠長に考えがちだ。何も判断せずにダラダラと勉強してしまう。
成果を出す人は「自分に必要な英語とは何か」を明確にして、そこに至るための道筋を判断している。