英語は10000時間でモノになる ~ハードワークで挫折しない「日本語断ち」の実践法~ 著者:橋本大也 出版:技術評論社 発行日:2023/4/20 |
英語をモノにするために1万時間の学習ノウハウ。日常生活で英語を使う環境を作り、英語の学習時間を確保する。
本書は、リーディングを中心として、著者の学習ノウハウを幅広く紹介している。
日常生活を英語環境にする
タイトルを「1万時間」と書かずに「10000時間」と書くところにセンスを感じる。誰もが0を数えたはずだ。
1万時間というのは、毎日6時間勉強しても約5年かかる。
「そのくらい勉強すれば、たしかに英語はモノになる」とツッコミを入れたくなるが、それだけリアルな数字だ。
本書のポイントは、机の上で参考書を広げる学習ではないこと。
そうではなくて、日常生活を英語一色にすることで、自然と英語に触れる環境にする。そうすれば膨大な学習時間を自然と確保できる。
- スマホとPCを英語モードにする
- 英語で検索する
- ニュースを英語にする
- 映画は英語で見る
- 外国人とつながって話す
- ノートを英語でとる
- 英語で考え、英語で独り言を言う
生活から日本語を追い出して、脳内で留学する。そんな風にして、1万時間(1日6時間で5年間)を達成する。
リーディングを中心とした著者のノウハウ
著者は45歳のときに、英語をモノにする人生最後の挑戦として、英語学習をはじめた。本書には、著者の学習経験をもとにした生きたノウハウがたくさんある。
著者は洋書を読むことを重視しているので、リーディングについてのノウハウが手厚い。タイトルの「英語をモノにする」というレベルは、洋書を年間100冊読める英語力を指す。
その中で「速読要約に挑戦しよう」の章についてご紹介したい。
以下のようなエクササイズを行う。
- 未読で興味がある内容の洋書を用意する
- 1時間でその本を要約する(日本語で結構です)
- その本を人に勧めるスピーチをする
1時間という締め切りを作って、洋書1冊を要約する。概要、目次、見出しや太文字を中心に、重要そうに思える部分を拾い読みする。
理解できたことをノートに箇条書きにしていく。時間切れになったらそこで終了してスピーチをはじめる。
このような速読は、専門職の新人や大学院などで、実際に体験することだという。
このエクササイズを10回も繰り返せば、格段に速く読めるようになる。
締め切りを作って拾い読みするリーディングエクササイズは、ときどき取り入れたいと思った。
わからない部分を飛ばす
著者は最後に、「わからなくても先に進んでいい」というのが英語学習の最大の発見だったと記している。
文法も単語もわからないけど興味があってなんとなくわかる本。そういう本を読み続けていると、いつのまにか全部わかってくるという。
わからない部分が気持ち悪くて、完璧にわからないと気が済まない人は、リーディングが苦痛になってとても続かない。そういう人は量をこなせないから英語力がつかない。
わからない部分は飛ばしてしまっても構わない。
これは、多読ブームを作った「快読100万語!ペーパーバックへの道」の中で酒井氏が提唱してきたことでもある。
多読で英語をモノにしてきた人たちが同じ主張をしている。英語習得の最大の秘訣かもしれない。