「お茶の間留学」ならぬ「お茶の間大学」の放送大学。BSやケーブルの普及、およびネット配信で視聴範囲が広がり、注目されている。
放送大学の在籍者数は8万7千人程度(2021年)。マンモス大学で知られる日本大学は7万7千人程度なので、放送大学は日本有数の学生数を誇る。
放送大学の英語講座は、文化的差異や行間に迫るものが多い。教養としての語学を学ぶ貴重な手段といえる。
その一方で、実用性を重視した講座もあり、幅広い英語学習者の方にとって一考の余地のある「教材」となる。
なお、放送大学のラジオ/テレビ視聴はもちろん無料! NHKの英語講座と同じ感覚で学習できる。(受信の範囲は下記参照)
リンク→放送大学
視聴方法
視聴方法は、無料ならテレビ・ラジオ。有料で学生になればネット配信が可能となる。
1.テレビ、ラジオ (無料)
- BSチャンネルで受信可能
- ほとんどのケーブルテレビで受信可能。
- ラジオ講座については、BS、インターネットradikoで配信している。
BSかケーブルに加入していれば日本全国でテレビ講座を視聴できし、ラジオ講座はradikoがあるので誰でも視聴できる。ほぼ日本の全域をカバーしていることがわかる。
なお、テキストは大型書店やアマゾンで購入できる。図書館で借りるという方法もある。(正規に受講する場合はテキストは受講料に含まれる)
リンク→放送授業の視聴方法
2.インターネット配信 (放送大学の学生のみ)
在学生は、「キャンパスネットワークホームページ」からネットで視聴可能。一部を除いて、開講中の全講座を配信している。
上記のテレビ・ラジオ放送はスケジュールにそって聞くことになるが、ネット配信は好きなときに好きな講座を学習できる。
科目履修生の場合、最小の学費は2万円程度。(1科目12,000円+半年間の入学金7,000円)
ネット配信目当てで科目履修生になっている人もいるはず。
3.オンライン授業 (履修生のみ)
オンライン授業とは、WEBでレポートを出したり、選択式のテストを受けたり、ディスカッション(掲示板)を行う授業のこと。
テレビ、ラジオによる放送授業は一方向で放送するだけなので、誰でも視聴できる。それらの授業のネット配信は、放送大学の学生であれば全科目視聴できる。
しかし、オンライン授業は学生のリアクションを求められる講義なので、履修生だけが視聴できる。
英語講座の案内
放送大学には膨大な英語講座があるが、各学期で放送(開講)されるのはその一部だけ。
現在放送されている講座については、放送大学の授業科目案内を参照。
以下、放送大学の英語講座の一例として、大学(教養学部教養学科)の外国語科目で開講された英語講座を紹介。
放送大学ではどんな英語授業をやっているのか、下記のリストからイメージをつかめる。
2024年度第1学期の英語講座
ビートルズ de 英文法
ビートルズの歌詞に即して、音声込みで英語の成り立ちを学ぶ。「状況、感情、文脈に即した具体的な「思い」が英語ではどのような論理にしたがって構成されているのか」を学ぶ。
英語で「道」を語る
日本で実践されている「道」の概念。この思想と背景を学び、それを英語で表現する方法を学ぶ。「道」を中心とする日本の文化・思想・価値観などを英語で説明する。中級レベル。
グローバル時代の英語
現在、英語の非ネイティブ同士で英語を使ってコミュニケーションする状況が多い。共通語としての英語について論じた文章の読解、非母語話者が話す英語の聞き取りなどを学習。
英語で読む大統領演説
20世紀の米大統領の演説を素材にして、英語表現をアメリカの歴史と文化に対する理解と結びつける。パラグラフ・リーディング、暗唱、エッセー執筆、語彙など多様な学習課題をこなす。
教養で読む英語(※オンライン授業:履修生のみ)
自然科学、社会科学、人文学のテキストを精読。毎回ゲストをお迎えして解説していただく。「様々な分野の内容に英文で触れることを通して、英語を学ぶと共に英語で学ぶことを目標とする」。
看護・医療の英語(※オンライン授業:履修生のみ)
看護・医療の現場で必要な英語について、会話パターンを中心に習得。「インフルエンザ」「食中毒」「骨折」などのテーマで来院した外国人とのコミュニケーション方法を学ぶ。
2005年に開講していた英語講座
昔の講座になるが、こんな授業もやっていたという参考に。
1.英語基礎A
初級講座。英米人をホームステイに受け入れるという設定のもと、初対面の挨拶などの基礎的なダイアログを使って学習する。今年からはじまった講座だが、ややNHK講座的な内容で、放送大学の中では異色。
2.英語総合A
中級から上級対象。さまざまなテーマのテクストを読み、専門家のインタビューを聞く。テーマは、社会経済、思想哲学、自然科学、労働問題、女性像の変遷など広範囲。
3.英語Ⅲ
アメリカの映画3本を題材にした講座。英語表現だけでなく、映画の背景や核心に迫る。映画の内容は、大学進学を控えた青年、失業中の中年男性、1950年代にはじめて白人学校に通うことになった黒人少女。
4.英語Ⅱ
岡倉天心が書いた”The book of tea”「茶の本」を読み進める講座。”The book of tea”は、茶道を解説しながら日本文化を紹介するもので、1920代にアメリカで出版され、世界中で読まれている。
5.英語Ⅳ
毎回、「花」「色」「音」などの文化概念や文化事象をとりあげ、日本語と英語の文化差異を研究し、効果的な英語表現を考察する。
6.英語Ⅵ
小説と論説という2つの英文を読みながら、いまいちど基本文法に立ち戻り、正確な英文の理解を目指すとともに、文法的な理解から一歩踏み込んだ文章理解を目指す。